今週の国内株市場は米国FOMCという注目のビッグイベントを迎えましたが、そのFOMCの結果を受けた12月17日(木)の日経平均終値は19,353円となり、前日比で300円を超える上昇でした。FOMC前の14日(月)~15日(火)の取引では、日経平均が18,500円台まで急落する場面がありましたから、イベントを挟んで株価水準が切り上がった格好です。

(図1)日経平均(日足)の動き① (2015年12月17日の取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

上の図1で日経平均の値動きを確認してみます。まず押さえたいのが、FOMC後の17日(木)のローソク足で、いわゆる「窓」を空けて上昇しています。ただし、ローソク足の形自体は上ヒゲが長く、陰線となっています。また25日移動平均線(MA)にも届いていません。日経平均は前日比では大きく上昇していますが、上値が重たく、「イベント通過によるアク抜け感」はイマイチと言えます。ですので、さらなる上昇の勢いに乏しく、買いのきっかけや材料が必要となります。

その一方で、足元の調整は一服したと見て良さそうです。まずは75日移動平均線です。株価自体はこの線を下回ってしまい、サポートとして機能したかは微妙なところですが、少なくとも下値の目処として意識されてはいます。そして次に、ローソク足の並び方です。今週に入ってからのローソク足は、下ヒゲの長い十字線(14日)、長い陰線(15日)、長い陽線(16日)という並びになっています(下の図2)。

(図2)日経平均(日足)のローソク足の並び

ローソク足のヒゲの長さは「値動きの大きさ、揺らいだ気持ちの大きさ」を示します。ですので、14日のローソク足は、「結果的に終値が始値水準まで戻したものの、下方向への意識が強い場面があった」ということになります。翌15日は長い陰線ですが、前日(14日)のヒゲを埋める格好になっていますので、「下方向への揺らいだ気持ちをあらためて確認した」ということになります。

そのため、14日~15日のローソク足はあまり良くない組み合わせに見えます。ただし、「そこまで売りの意識が強かったのに、前日安値を大きく更新するほど下げなかった」と考えることもできます。こうした考え方を背景に、2本のローソク足が同じ株価水準で高値や安値を付けることを「毛抜き天井(底)」と呼んでいます。今回はあまりきれいな形ではありませんが、安値が同じ水準だったことで底打ちの可能性があったことが分かります(もちろん、この段階では確信は持てませんが)。

そして、翌16日の取引が反発して始まったことで、目先の底打ちに自信が深まり、19,000円台を回復するまで買いが入ったという流れです。ちなみに、16日の始値は15日の始値と同水準で「行き違い線」だったことも買いを加速させた可能性があります。14日の始値と終値、15日の始値、16日の始値がいずれも同じ18,800円台ですので、今後、株価が下落した際にはこの水準が再び意識されるかもしれません。

では、今後の日経平均の推移はどのようなシナリオが想定されるのでしょうか?下の図3は期間が少し長めの日経平均の日足チャートです。

(図3)日経平均(日足)の動き② (2015年12月17日の取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

先ほどのように、目先の底を打ったと考えれば、トレンドライン②を描くことができ、この線をサポートにしながらの戻りが期待できます。値動きはトレンドライン①と②に囲まれた範囲になりますが、現時点では上昇の勢いが足りないムードですので、高値を結んだ線がまずは上値の抵抗線になりそうです。この抵抗線を抜けることができるかがポイントとなり、抜け切れなければ、三角保ち合いに入るようなイメージです。

最後に、前回紹介した株価指数先物と現物株の裁定取引に伴う現物株の買い残高(期近・期先合計)の状況です。今週16日(水)に、12月11日(金)時点の状況が公表されました。

(図4)裁定買い残高(金額:期近・期先合計)の推移

(出所:東証発表データを元に筆者作成)

前回(12月4日時点)で3.63兆円まで積みあがった裁定買い残が減少に転じ、3.2兆円となりました。この週(12月7日~11日)の日経平均は274円安(1.4%安)でしたが、下落に伴って裁定買い残も減少したようです。今週の前半も大きく下落していましたから、さらに減少していることが予想されます。2兆円台後半まで減少すればひとまず一巡と捉えて良いかと思いますので、需給要因もプラスになれば、株価の順調な戻りへの期待につながりそうです。