12月入りとなった今週の国内株市場ですが、初日となる1日(火)の日経平均終値が20,012円となり、ついに2万円の大台に乗せました。以降はこの「2万円台」に乗せきれていないものの、「2万円水準」は維持しており、相場の堅調さは維持しているようです。何だかんだで2万円は達成したわけですから、次に気になるのは「2万円から先」です。

(図1)日経平均のTickチャートの動き(2015年12月3日の取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

足元の日経平均の動きをあらためて上の図1で確認してみますと、2万円の達成感というよりは、2万円を抜け切れないモヤモヤ感の印象の方が強いかもしれません。また、前回紹介した「上昇ウェッジ」の範囲も下抜ける格好となっています。もっとも、下抜けとはいえ、株価が下がったのではなく、株価の横ばいが続いたことでウェッジの範囲をはみ出したという状況のため、目先の調整を強く意識させるほどの印象はありません。

次に、もう少し期間を延ばして見てみます。下の図2も同じく日経平均の日足チャートです。

(図2)日経平均(日足)の動き(2015年12月3日の取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

足元の2万円をめぐる攻防(もみ合い)は、8月の急落時に空けた「窓」の範囲内に収まっています。いわゆる窓埋めの完成は20,033円の上昇が必要ですが、12月3日の取引終了時点ではまだ達成されていません(12月1日は20,012円の高値引けでした)。ですので、2万円到達ではなく、窓埋めの完成によって、今後の上昇に弾みがつく可能性もまだ秘めているとも考えられます。

他の指標でも見てみます。下の図3はボリンジャーバンドとMACDですが、ボリンジャーバンドの傾きが横向きになりつつあるほか、MACDでも横ばいが続いています。少なくとも買いの勢いが弱まり、「買い疲れ」が感じられる印象です。

(図3)ボリンジャーバンド(上段)とMACD(下段)(2015年12月3日の取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

そのため、多くの投資家が「ここまでは上昇するだろう」と見込んでいた2万円台の実現に差し掛かり、「買い疲れ」と新たな上昇の思惑への「粘り腰」が入り混じっている状況と考えられます。上昇ウェッジの下抜けや、ボリンジャーバンド、MACDなど、買い疲れを示す指標は結構多いので、どちらかと言えば下振れ意識の方がやや優勢のように思われます。それでも粘り腰が効いているのは、窓埋めの完成まであとわずかだからというのも大きいと思われます。

粘り腰が折れてしまうかどうかは、現在埋めようとしている「窓」の状況がカギとなります。窓の範囲は20,033円~19,730円です。この範囲を下方向に抜けた時に調整が加速するきっかけになる可能性があります。ただし、前回も触れた通り、目先の調整は良い押し目買いのタイミングになるという見通しに変更はありません。これまで目立った調整がなく、先物や短期の資金が上昇を牽引してきたと言われているため、下値はテクニカル指標が目処となることが多いです。25日移動平均線や75日移動平均線、8月急落時のひとつめの窓埋め(約19,150円)などが目安となりそうです。反対に「粘り腰」が勝ち、上方向に超えた場合は、ウェッジのトレンドラインに沿っての上昇が期待されるため、20,500円水準が意識されそうです。