「アフター米雇用統計」となった今週の国内株市場ですが、概ね堅調な動きを見せています。日経平均は週初の月曜日(10月5日)に節目の18,000円台を回復、以降も18,000円台前半をキープしての推移が続いています。

(図1)直近の日経平均(日足)の動き (10月8日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

上の図1で足元の日経平均の動きを見てみます。冒頭でも述べた通り、10月5日(月)に節目の18,000円台を回復し、その後は陰線、陽線、陰線と方向感が出ないものの、18,100円~18,300円台を中心としたもみ合いになっています。以前から注目していました、「下降気味のレンジ相場」の上限(ネックライン)を上抜けたほか、25日移動平均線の水準も上抜けています。5日移動平均も25日移動平均線を上抜け、いわゆる「ゴールデンクロス」となっています。テクニカル的には、さらなる戻りを期待させる格好で、9月29日の安値(16,901円)でとりあえず底を打ったと判断でき、かなりムードが良くなったと言えそうです。

また、週足チャートでも確認してみます(下の図2)。

(図2)直近の日経平均(週足)の動き (10月8日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

今週のローソク足は、10月8日の取引終了時点で陽線となっています。前週の下ヒゲの長いローソク足の出現によって、前回も指摘した「探りながら底打ちを確認していく」シナリオに沿った動きと言えます。

日足・週足の両者とも、戻りをうかがう印象のため、目先の底打ち確認と見て良さそうですが、日足チャートのローソク足の並び方などを見ると、戻りの力強さはあまり感じられません。このまま上昇トレンドに転じたと考えて良いのか判断に迷うところです。

そこで、今回は「DMI」という指標を使って見たいと思います。DMI(Directional Movement Index)とは日本語で「方向性指数」と呼ばれています。名前の通り、相場の方向(トレンド)と勢いを探るテクニカル指標です。

一般的に、DMIは3本の線を使います。(1)「+DI」、(2)「-DI」、(3)「ADX」です。細かい算出方法は抜きにしますが、(1)「上昇の勢いを表した線」、(2)「下落の勢いを表した線」、(3)「(上昇・下落問わず)相場そのものの勢いを表した線」というのがざっくりしたイメージになります。また、DMIの基本的な見方は以下の4点です。

  • 3本の線(+DI、-DI、ADX)ともに、線が上昇するほど勢いが強い。
  • +DIと-DIの関係・・・+DI>-DIならば上昇トレンド、-DI>+DIならば下降トレンド
  • 上昇トレンド、下降トレンドそれぞれの強さはADXが表す(上に行くほど強い)
  • 売買の目安は+DIと-DIのクロス

それでは早速見てみましょう。下の図3は、上段が日経平均(日足)、下段がDMIです。

(図3)日経平均(上段)とDMI(下段) (10月8日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

8月中旬からの株価の下落局面はまだ記憶に新しいですが、DMIでみても、ちょうどその頃から-DIが+DIを上回っている状態が続いており、現在に至っても下降トレンドにあると言えます。ただし、9月中旬以降の-DIは横ばいで推移していますし、トレンドの強さを表すADXも低下傾向にあるため、下落の勢い自体は衰えていると見ることができます。その一方で、+DIが徐々に上昇してきてはいますが、かなり緩やかです。そのため、「弱まった売りをこなす買いが入ってこない」というのが足元の状況と捉えることができそうです。もどかしい状況ですが、下値不安は後退しているため、買い材料には素直に反応しやすい相場地合いと思われます。