本レポートは通常、木曜日の取引終了時点をベースに原稿を作成していますが、今週は、8月21日(金)の日経平均が節目の2万円台を大きく下回ってスタートしたため、前回に続いてお送りします。

前回のレポートではレンジ相場が維持できるかに注目し、足元のチャートの形状や、ボリンジャーバンドおよびMACDから短期的に大きく下振れる可能性について指摘しました。

ご存知の通り、21日(金)の日経平均の始値は19,711円となり、前日比で300円を超える下落でのスタートとなりました。その後、前場の取引終了時点は19,612円で、下げ幅が拡大しています(下の図1)。

(図1)直近の日経平均(日足)の動き (8月21日前場の取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

あらためて図1を見てみますと、直近は陰線が続く下落基調で、21日(金)にいわゆる「窓」を空けている格好です。過去に遡ると、6月下旬から7月上旬にかけて日経平均が大きく下落した局面はまだ記憶に新しいですが、窓空けは年初来高値をつけた直後に見受けられたものの、75日移動平均線を下回り、下値をトライする7月上旬の段階では足の長い陰線としたヒゲの長い陽線が続き、その後の相場は反発しましたが、今回は75日線を下回ってからも陰線が続いていること、さらに窓明けが出現となっているため、21日(金)の前場終了時点のチャートの形状は、あまり良い印象ではありません。

次に週足でも確認してみます(下の図2)。

(図2)日経平均(週足)の動き(8月21日前場の取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

週足では、半年間の値動きの中心線となる26週移動平均線を下抜けました。先ほども触れた7月上旬の急落時も今回と同様に26週移動平均線を下抜けましたが、ローソク足のヒゲの部分だけが下回っていますので、結果的にサポートとして機能したと言えますが、今回は実体が下回っていますので、週足でみてもあまり良い印象ではありません。

また、週足では「三角保ち合い」を形成しつつあるようにも見えます。一般的な保ち合い相場の条件に、「上下に5回以上の振れ幅があること」というのがありますが、足元は4番目となる下値を探っている状況と捉えることができそうです。ですので、この4番目が1番目の下値(19,115円)を下回ってしまいますと、三角保ち合い形成が崩れることになるため、今回の下落基調が19,115円よりも上で踏みとどまれるかが注目ポイントのひとつになります。

一方で、中期的に保ち合い相場を形成しつつあるということは、今回の株価急落は「押し目買いのチャンスではないか?」と考えることができます。そこで話を日足に戻して、別のテクニカル指標でも見ていきたいと思います。下の図3は日経平均と「RCI」と呼ばれるテクニカル指標です。

(図3)日経平均(日足)とRCI(8月21日前場の取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

RCI(Rank Correlation Index)とは、これまでに何度も紹介しましたRSIと同様に、売られ過ぎか、買われ過ぎかを判断する時に使う、「オシレーター系指標」の一種です。RCIの細かい説明は別の機会に譲るとしまして、ここで押さえておきたいのは、

  • RCIの数値は0を基準に±100%の範囲で動き、+100%に近づくほど高値圏、-100%に近づくほど安値圏と判断されること。
  • RCIは計算期間の短い短期線と、比較的長めの中期線で構成されていること。(MARKETSPEEDの基本設定は9日と26日)
  • 押し目買いの判断時に使われることが多く、中期線が上昇トレンドを形成している中で下落している短期線が反発したタイミングがそのサインとなること。

の3点です。

上の図3で確認してみますと、RCIの短期線が急落後に反発している箇所が押し目買いのポイントとなり、実際に多くの場面で効果を発揮していることが分かります。だからと言って短期線が反発したらすぐに買いがベストというわけではなく、RCIの中期線に注目し、中期線が下落基調の時は、短期線が中期線を上抜けるタイミングで押し目買いを入れた方が効果的です。今回も中期線が下落基調にありますので、前回のオチと同じになってしまいますが、押し目買いを入れるタイミングは一呼吸置いてからの方が良いかもしれません。