今週の国内株市場ですが、日経平均は11日(木)に反発したものの、9日(火)に大幅下落を見せるなど、軟調な展開が目立っています。

(図1)直近の日経平均(日足)の動き (6月11日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

上の図1で足元の動きを確認してみますと、5月28日(木)に高値をつけた後、先週は陽線と陰線が交互に出現する「鯨幕相場」の展開となり、方向感に欠ける展開が続きました。今週に入ってからは、冒頭でも述べましたが下げ幅が拡大し、11日(木)の反発を迎えたわけですが、ちょうど、25日移動平均線の水準がサポートとして意識された格好です。

また、「扇形(ファン)トレンド」でも、ライン③が下値のサポートとして機能しており、引続きライン②とライン③の範囲内での推移が続いています(下の図2)。

(図2)日経平均(日足)の「扇形(ファン)トレンド」

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

下落前のように、日経平均が再びライン②の上限に向かって戻りを試すことができるかが注目されます。11日(木)の日経平均終値は20,382円となり、前日比で336円高と大きく上昇したほか、高値引けでもありましたので確かに買いの勢いが感じられます。ただし、翌12日(金)がメジャーSQとなっており、オプション取引の売買が多い権利行使価格250円刻みが意識されている可能性があります。現在の水準では、権利行使価格20,250円と20,500円のどちらに近づいてSQを迎えるかが焦点ですが、11日(木)の終値は両者の中間値である20,375円水準であることが分かります。

とはいえ、目先はひとまず底を打った可能性が高いと考えられます。下の図3は、東京証券取引所が公表している空売り集計(日次)の「空売り比率」の推移をグラフで表したものです。空売り比率とは、市場全体の売りに占める空売りの割合のことですが、一般的に空売り比率は20~30%の範囲内で推移することが多く、30%を大きく超えると相場の底入れ水準、20%を大きく下回ると、相場の天井水準と言われています。

(図3)日経平均(日足)と空売り比率の推移

(出所:東京証券取引所公表のデータを元に筆者作成)

実際に図3を見てみますと、30%を超える状況が珍しくなく、高値警戒感の空売りが継続的に存在していることが考えられます。また、グラフ表示の期間には含まれていませんが、2013年1月より信用取引で同一銘柄の回転売買が可能になるなどの規制緩和が実施されて以降は空売り比率が高めの傾向になっています。

今年に入ってからの動きを辿ると、空売り比率が35%近くになると日経平均の調整が底入れするケースが多く見られます。具体的には、3月10日、4月1日、5月7日が挙げられますが、足元の6月10日も含めて空売り比率はいずれも35%水準となっています。