今週も日経平均は力強い動きを見せています。2月26日(木)の取引は18,785円で終了し、2000年4月20日以来の高値となっています。最近では「~ぶりの高値」という表現が珍しくなくなってきた印象です。

その日経平均の動きを辿ってみますと、引続き、昨年10月につけた安値を起点としたトレンドラインと、今年1月につけた安値を起点としたトレンドラインに挟まれたレンジ内での推移となっています。

(図1)直近の日経平均(日足)の動き その1(2月26日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

また、TOPIXについても同様のレンジ内で推移していますが、株価はレンジの上限付近に位置しています。このレンジ上限が意識されているせいか、今週はTOPIXよりも日経平均の方が上昇の勢いがありますが、前回も紹介した通り、「TOPIXが伸び悩む局面で、日経平均もひとまず調整が入るかもしれない」というスタンスは継続と考えて良いかと思います(下の図2)。

(図2)TOPIXの動き(日足)(2月26日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

そのため、TOPIXの動きをもう少し細かく見て行きます。下の図3は足元のTOPIXの動きを示したものです。2月26日のローソク足は大きめの陽線となっており、前日(25日)のローソク足を包むような格好になっています。こうしたローソク足の組み合わせが相場の上昇局面で現れると、「最後の抱き線」と呼ばれ、売りサインのひとつとされています。

相場の過熱感も指摘される中、当然注意しなければならないわけですが、少し過去に遡ると、上昇局面での抱き線が2回ほど出現しています。1月下旬に出現した時は、売りサインが機能し、しばらく軟調な推移となりましたが、昨年12月あたまに出現したときは、4日間ほど上昇が続いた後に下落に転じています。いずれにしても目先の天井を意識しながらの展開が予想されます。

(図3)TOPIXの足元の動き(日足)(2月26日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

また、相場の過熱感は売買エネルギーと人気の強さによって醸成されます。そこで、日経平均の状況を「強弱レシオ」で確認してみたいと思います。

強弱レシオについては、以前(第22回)でも紹介しましたが、「Aレシオ」、「Bレシオ」という2本の線を用います。Aレシオが相場のエネルギーの強さ、Bレシオが相場の人気度の強さを表しているというイメージです。Aレシオ、Bレシオはそれぞれ以下のように計算されます。

強弱レシオの計算式

(当日の高値-当日の始値)のn日間合計

Aレシオ(%)= --------------------------------------- ×100

(当日の始値-当日の安値)のn日間合計

(当日の高値-前日の終値)のn日間合計

Bレシオ(%)= --------------------------------------- ×100

(前日の終値-当日の安値)のn日間合計

※マーケットスピードでのn日間は、26日が基本設定です。

AレシオとBレシオの違いは、当日の高値(安値)との差を求める基準が当日の始値なのか、前日の終値なのかという点だけです。また、強弱レシオはRSIと同様に%での表示ですが、0~100%の範囲ではなく、100%が強弱の拮抗する中心線として見ていきます。

(図4)日経平均(上段)と強弱レシオ(下段)

(出所:筆者の記録データを元に作成)

第一印象では直近のBレシオの跳ね具合が気になるところです。確かに、「Bレシオが上昇しているから天井が近い」と思いがちですが、昨年11月にもBレシオが急上昇した際、実際に日経平均が下がり始めるまでにタイムラグがありました。

実は、今回注目するのはAレシオの方です。一般的にAレシオが150%を超えてくると、天井が近いと言われています。図では少し見にくいですが、昨年11月にBレシオがピークをつけたときのAレシオは131%でしたが、日経平均が下がり始める直前には160%を超える日があるなど、150%を超える日が増えていました。2月26日時点のAレシオは106%です。そのため、Aラインの上昇余地はまだあり、目先の調整を迎えたとしても、下落は限定的で、もうしばらく日経平均が上昇基調を続けるシナリオも十分に考えられそうです。