今週の日経平均は4月の戻り高値である15,100円台半ばからの上値が重く、逆に15,000円を下回る場面が目立っています。ひとまず上昇が一服している状況ですが、下の図1は、第1回でも掲載した日経平均の週足チャートとトレンドラインです。

当時は、「1年間の平均線である52週移動平均線が意識されているほか、トレンドライン②を維持できるかの踏ん張りどころ」と説明しましたが、その状況はあれから1カ月経った今でもあまり変わっていません。6月12日の日経平均終値はトレンドライン②からは少し下に位置していますが、52週移動平均からは上にあるため、中期的なトレンドは一応維持していると言えそうです。

(図1)日経平均(週足)チャートとトレンドライン

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

5月から6月入りまでの日経平均は、「買えないから下がる」展開で下落したものの、節目の14,000円台の水準では下値が堅く、踏みとどまったため、今度は「下がらないから買われる」展開に転じて15,000円を回復してきました。とはいえ、足元の上値の重たさは、「買い上がれないから売られる展開になるのでは」とも考えられるため気になります。そこで短期的な状況を確認してみます。

(図2)日経平均(日足)チャートとMACD

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

上の図2は、上段と下段に分かれており、上段は日経平均の日足チャート、下段はMACDと呼ばれるテクニカル指標です。MACDの細かい見方や考え方については別の機会で説明する予定ですが、図に書かれている2本の線、MACD(赤色)とシグナル(青色)が「0」を超えて、上昇トレンドっぽいなということは見た目の印象でわかります。ただしMACDが微妙に下向きになっていて、シグナルを下抜けないように維持できるかが、今後の注目点になります。

また、上段のローソク足の動きに目を向けると、5月下旬からの上昇は、まずは14,600円水準のところで上昇が一服してもみ合った後、一気に15,000円台に乗せており、2段階になっていることが分かります。上昇相場の途中で短いローソク足が続いた後に上放れた陽線が出現するのは、酒田五法のローソク足分析の中で「上値遊び」と呼ばれる買いパターンです。

ただし、15,000円台を回復してからは短めの陰線が並んでおり、こちらは「団子天井」と呼ばれる売りのパターンとされています。要は、買いのパターンと売りのパターンが立て続けに登場しており、今後のシナリオは正直読みにくい状況です。13日のSQ通過後に主力株にも資金が流れる展開となり、今年に入ってからの戻り高値である3月7日の15,312円を超えられる相場の力強さが欲しいところです。

仮に、日経平均が目先の調整に入ったとしても、「上値遊び」が出現した位置は75日移動平均線を越えたところにあるため、この75日線がサポートとして機能する可能性が高く、しかも、6月12日には25日線がこの75日線を上抜けるゴールデンクロスとなっており、押し目のポイントと捉えて良いかもしれません。