テンバガーの夢を追うか、着実に利益を積み重ねるか

皆さんは「テンバガー」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。これは、株価が10倍に上昇した銘柄のことを指します。

さらに、株価が100倍に上昇した銘柄のことを「ハンドレッドバガー」と呼びます。近年ではガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)が100倍超の上昇を達成したことで有名です。

さすがにハンドレッドバガー銘柄はごくわずかですが、テンバガー銘柄なら、今回のアベノミクス相場では数多く誕生しました。

株式投資のスタイルは人それぞれ異なりますが、筆者のこれまでの経験上、投資した銘柄のいくつかが「テンバガー」になれば、資産を大きく増やすことができます。そのため、筆者は将来テンバガーになりそうな銘柄へ投資するよう心がけるようにしています。

一方で、テンバガーなどは狙わず、着実に利益を積み重ねるスタイルもあります。例えば、買値から30%上昇したら利益確定売りをするという方法です。株価が10倍に上昇することなく、短期間で失速してしまうことの方がはるかに多いのは間違いありませんから、欲張らずに確実に利食い売りを行うというのも理にかなっています。

そこで今回は、株価3割アップで利益確定を行う手法と株価10倍を狙った手法とを比較し、それぞれの方法のメリットやデメリット、実践するうえでの注意点などをお話ししたいと思います。

3割アップで利益確定のメリットとデメリットは?

株価が買値から30%上昇したところで利益確定する手法のメリットは、利益確定する機会が多いということです。

特に新興市場銘柄など株価の値動きが大きい銘柄であれば、数日~1週間程度で株価が買値から30%上昇することは日常茶飯事です。30%の利益を積み重ねていけば、トータルでは結構な利益になります。

また、相場環境が悪いときには、株価10倍はおろか2倍への上昇も難しくなります。でも、30%程度の上昇であれば、どんなにひどい相場でも年に1回はチャンスが訪れます。株価10倍狙いと比べて成功回数が圧倒的に多くなるのは大きなメリットです。

デメリットは、利益確定売りをした後、そこからさらに株価が大きく上昇する可能性を放棄してしまうという点です。

株価が3割上昇した時点で利益確定をするということは、上昇トレンドの途中で売ることを意味します。でも、2013年前半のように相場環境が良いときには、株価が3割アップにとどまらず、3倍、10倍、銘柄によってはそれ以上になるものが続出します。

最悪のパターンは、株価3割アップで売却したものの、さらに上昇するのをみてあわてて飛び乗り、結局は高値掴みをしてしまうというものです。こんなことを繰り返していれば、株価3割アップによる利益など簡単に吹き飛びますので注意してください。

相場環境が悪くてもコツコツ利益を積み重ねることができる一方、大相場にはめっぽう弱いのがこの方法の特徴です。

なお、新興市場銘柄など値動きが荒い銘柄の場合、株価があっという間に急上昇して3割アップを達成したと思ったら、その日のうちに急落して元の株価まで戻ってしまうことも往々にしてあります。確実に3割アップで利益確定をするために、事前に逆指値の売り注文を出しておくことが有効です。

10倍狙いのメリットとデメリットは?

では、株価10倍狙いのメリットとデメリットはどうでしょうか。簡単に言えば3割アップ手法のメリット・デメリットと逆になります。

メリットは、なんといっても成功したときの利益が大きいことです。仮に20銘柄に投資したとして、そのうちの18銘柄がプラスマイナスゼロであっても、残り2銘柄が10倍になるだけで投資元本は約3倍に増えます。数年に1度訪れる大相場であれば、投資した銘柄のうち1割が株価10倍になるケースは全く珍しくありません。

デメリットは、よほど相場環境が良くない限り10倍になる銘柄がなかなか出現しないという点です。10倍狙いの場合は、株価が3割程度アップしたくらいでは利食い売りはしません。でも、相場環境が悪い場合、株価が少し上昇しても結局は下落に転じてしまうため、利益確定をするチャンスがなかなか到来しないのです。

3割アップで利益を確定する手法に比べ、利益を得られずに耐える期間が長くなるものの、良好な相場環境が訪れれば一気に資産を増やすことができるのが株価10倍狙いの特徴です。

いずれの場合も状況に応じた臨機応変な対処が必要

このように、株価3割アップ狙いと10倍狙いとではそれぞれメリットとデメリットがあります。大相場を逃したくないという方は10倍狙い、大相場は逃しても良いからどんな相場環境でもコツコツと利益を積み重ねていきたいという方は株価3割アップ狙いが向いています。

また、3割アップとか10倍狙いに限らず、5割アップ狙いとか、3倍狙いとか、ご自身に合ったプランを最終的には見つけてもらえばよいと思います。

ところで、株価10倍狙い場合はもちろん3割アップ狙いの場合も、それに固執する、つまり3割アップとか10倍に株価が達するまで決して売らないというのはよくありません。相場環境等に応じて臨機応変に対処する必要があります。

例えば、新規買いした後に株価が目標まで上昇する前に株価が下降トレンドに転じてしまった場合は、売却ないし損切りをしなければなりません。株価上昇途中に飛び乗り、事前に設定した損切り価格を割り込んだ場合も同様です。

筆者は基本的に株価10倍狙いの投資戦略をたて、行動をしています。株価が上昇トレンドを続けるうちは途中で売らずに保有を続け、できる限り利を伸ばすことを目標としているからです。

とはいえ、株価10倍に達するまでの道は決して平坦ではないことも確かです。そこで回を改めて、筆者の株価10倍狙いの投資戦略について、今までの実践をもとにご紹介していきたいと思います。