25日騰落レシオがついに160%を突破!

5月下旬以降続いている日本株の反発局面。特に新興市場銘柄は、マザーズ指数やジャスダック指数をみても分かるように、それまで売り叩かれていた分戻りも強烈です。東証1部銘柄も多くの銘柄が反発し、その結果6月24日には25日騰落レシオ(以下単に「騰落レシオ」とします)が164.0%という「超過熱水準」まで上昇しました。

騰落レシオは130%を超えてくると株式市場が過熱状態にあるといわれ、その後間もなく騰落レシオはピークを打ち、株価も調整局面に入るのが通常です。

例えば、2012年以降、騰落レシオが130%を超えてピークを付けた日と、その前後の日経平均株価のピーク(終値ベース)は以下のとおりです。

  • 2012年2月23日 騰落レシオ143.7% →日経平均株価のピーク 3月27日
  • 2012年7月9日  騰落レシオ136.9% →日経平均株価のピーク  7月4日
  • 2013年5月10日 騰落レシオ152.1% →日経平均株価のピーク 5月22日
  • 2013年7月22日 騰落レシオ140.7% →日経平均株価のピーク 7月18日

超過熱の騰落レシオをよそに株価が上昇を続けたことも

このように、騰落レシオがピークをつけた前後に、日経平均株価もピークをつける傾向があります。2012年2月23日のように、騰落レシオのピークから1カ月ほど後に日経平均株価がピークをつけることもあります。

ところが一度だけ、騰落レシオが130%を大きく超えたにもかかわらず株価が上昇を続けたことがあります。それが、2012年12月、アベノミクス相場が始まったばかりの時です。

2012年12月19日、騰落レシオは164.5%と過去最高値を記録しました。ところが日経平均株価は一向にピークをつけず、調整らしい調整もほとんどないまま、当時10,000円前後だった日経平均株価はその後2013年5月23日の高値15,942円60銭まで駆け上がったのです。

この過程で3月25日にも騰落レシオが143.9%まで上昇しましたが、その時も日経平均株価は天井をつけませんでした。都合3回目の130%超えとなる、5月10日の騰落レシオ152.1%をつけた約2週間後の急落で日経平均株価もようやく天井をつけたのです。

大相場の立ち上がりでは騰落レシオの過熱は必然だが・・・

株価が大きく上昇する大相場では、騰落レシオをはじめ各種テクニカル指標が相場の過熱状態を示しても、そこからさらに株価が上昇することが多くなります。
株価がいつもより大きく上昇するのですから当たり前といえば当たり前なのですが、そのため通常の反発局面と同じように「過熱感大→目先の天井近し」と判断して持ち株を売却してしまうと、せっかくの大相場を取り逃がしてしまうことになりかねません。

かといって、騰落レシオが130%を超えて過熱感が高まっているにも関わらず、常に大相場を期待してそこからどんどん新規買いを続けるのも考え物です。騰落レシオ130%超えで株価が目先のピークをつけることの方が圧倒的に多いからです。

アベノミクス相場第2波入りの期待が高まるが

筆者も、アベノミクス相場第1波で騰落レシオ160%超えをものともせず株価上昇が続いたことは強く印象に残っています。
また、底値から大きく立ち上がった日経平均株価が1年間の持ち合い相場を経て第2波の上昇をスタートさせた2005年当時と現在とで、日柄面をはじめ状況が似ているという点も気になります。

そのため、今回の騰落レシオ160%超えはアベノミクス相場第2波の大相場の入り口の可能性が低くないと考えています。とはいえ、通常どおり騰落レシオの過熱から目先の天井をつけ、しばらく調整局面に入る可能性も低くありません。

つまり、騰落レシオが160%超えという異常値を示したことのみをもって、その後の株価の動きを正しく予想することは不可能なのです。
そこで、どう転んでも対処できるように筆者が普段から実行しているのが以下の手法です。といっても目新しいことはなく、本コラムや拙著などで以前からお話しているものです。

(1)投資候補となる銘柄の株価チャート(日足)を毎日チェックする

(2)投資候補銘柄が上昇トレンドに転じたら新規買いを行う

(3)相場全般が好調にもかかわらずまだ大きく上昇していない銘柄があれば適宜買い増しを行う

(4-1)騰落レシオが過熱状態になったら、短期間に株価が急騰した銘柄を一部利食いしたり、株価の動きが悪い銘柄を外したりして、ポジション調整を行う。

(4-2)騰落レシオが過熱状態になったら、株価が25日移動平均線から大きく上方に乖離した銘柄の新規買いはできるだけ避ける

(5-1)その後の騰落レシオの状態にかかわらず、買いポジション総額がそれほど大きくないならば、投資候補銘柄が下降トレンドから上昇トレンドに転じたら新規買い、上昇トレンド途中で押し目を形成したら新規買いもしくは追加買いを実行する。

(5-2)その後の騰落レシオの状態にかかわらず、保有株のうち株価のトレンドが下降トレンドに転換した銘柄は売却する。

(1)から(5)は時系列に並んでいるとお考えください。筆者が(2)を実行したのは5月下旬~6月上旬です。特に5月最終週になって上昇トレンドに転換した銘柄が相次いで生じましたので、それらを新規買いしました。その後(3)を経て、現在は(4)の段階です。ただ、個別銘柄によってはすでに下降トレンドに転じたものが出てきていますので、それらは売却するようにしています。

今から新規買いする場合の注意点は?

騰落レシオが過熱状態にあるときに最も注意すべき点は、その後株価が調整局面に入ったときに、損切りによる損失が膨らまないようにすることです。

上記でお示しした筆者の投資手法を日ごろから実行すれば、騰落レシオが過熱状態になるころには、自然に買いポジションが構築されていますから、慌てて高値で買う必要はありません。

ただ、個人投資家の皆さんの中には、現時点であまり買いポジションが持てていないという方も少なくないと思います。しかし、ここから新規買いするのは結構リスクが高いのも事実です。

それでも大相場を絶対に逃したくないというなら、多少の損失は覚悟の上、上記の(4-2)の点に注意し、25日移動平均線から株価がそれほど上方に乖離していない銘柄を買うのが良いのではないでしょうか。
これなら、もし新規買いの後に大相場入りせずに調整局面に入っても、25日移動平均線割れで損切りとすれば、損失はそれほど大きくならずに済むからです。

個人投資家はどうしても「ここからさらに株価が上昇するかもしれない」と思い、過熱感のある中をあわてて買いに走ってしまいがちですが、よほどの大相場に発展しない限り、それは失敗のもとです。
もし過熱感が高い状況で新規買いするなら、意に反して株価が下落したとき、いかに損失が小さくなるようにするかを考えながら実行するようにしてください。