執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 3月15日に、3大イベント(FOMC、米債務上限引き上げ、オランダ下院選挙)を控え、日経平均は大きく動きにくくなっている。
  • 3大イベントを波乱なく通過することができれば、日経平均は上値トライしやすくなる。

(1)3月15日(水)に3つのイベントを控え、小動き

13日の日経平均は、29円高の19,633円でした。年初から続いてきたボックス圏(19,000 - 19,600円)のほぼ上限で小動きとなっています。景気・企業業績の回復傾向がはっきりしつつあることから、日経平均は、ボックスを上放れしてもおかしくないと考えています。ただし、目先、15日(水)に重要な政治イベントを3つ控え、大きく動きにくくなっています。

日経平均日足:2016年11月1日 - 2017年3月13日

(注:楽天証券マーケットスピードより作成)

13日18時時点の為替は1ドル114.57円でした。ドル円も年初来続いてきたボックス圏(1ドル111.60円 - 116円)を抜け出すことができていません。

ドル円為替レートの動き:2016年11月1日 - 2017年3月13日

(注:楽天証券マーケットスピードより作成)

(2)15日に控える、3つの政治イベント

以下のイベントを控え、動きにくくなっています。

①FOMC(米金融政策決定会合)の結果発表→0.25%の利上げが確実視されている
②米国で債務上限引き上げの期限が到来→上限引き上げがないと新規の米国債発行ができなくなる
③オランダ下院選挙→自国中心主義で反移民・反EUを唱える極右「自由党」の躍進が予想される。

  • 最大の注目点はFOMC

0.25%の利上げ(政策金利であるFF金利の誘導目標を0.50 - 0.75%から、0.75 - 1.00%へ引き上げ)が発表されることが、ほぼ確実です。利上げが発表されても、それ自体にサプライズはなく、大きく市場を動かす要因とはなりません。

市場の注目は、今後の利上げピッチです。まず、17人のFOMCメンバーによる2017年末のFF金利予測(中央値)がどうなるか、が注目されます。昨年末時点では、2017年末のFF金利誘導水準が、1.25 - 1.50%になると予想されていました。これは、2017年中に、0.25%の利上げが3回実施されることを意味します。2017年末の予測水準が変わっているか、変わっていないかが注目されます。

次に、注目されるのは、FOMC声明文およびイエレン議長による記者会見です。タカ派(追加利上げに積極的)トーンか、ハト派(追加利上げに消極的)トーンか、注目されます。

これらを通じ、今後の利上げピッチが速くなりそうだととらえられれば、ドル高(円安)が進みやすくなります。今後の利上げピッチが遅くなりそうだととらえられれば、円安は進みにくくなります。

  • 米国の債務上限引き上げ

議会が、債務上限の引き上げを承認しないと、今後、新規の米国債の発行ができなくなります。トランプ大統領が唱える景気刺激策(大型減税と公共投資)をやっていくには、債務上限の引き上げが必要です。議会は共和党が握っているので、債務上限の引き上げは認められると考えられます。

ただし、万一、引き上げがすんなり通らないようだと、先行き、トランプ大統領の思い通りに景気刺激策を実行するのは困難になるとの見方が出てきます。トランプ大統領が共和党主流派の協力を得て、思い通りに政策を実行できるか見るための試金石となります。

  • オランダ下院選挙

反移民・反EU・自国中心主義を旗印とする極右「自由党」の躍進が予想されます。予想以上に、得票を伸ばすようだと、EUの結束に不安が生じます。

4月のフランス大統領選(決戦投票は5月)では、反移民・反EU・自国中心主義を唱える「国民戦線」のマリーヌ・ル・ペン党首が、決戦投票まで進出する可能性が高まっています。オランダでもフランスでも、反EU勢力が拡大しつつあるといえます。

昨年6月、英国がEU脱退方針を国民投票で決めたことに続き、大陸欧州の国々にも、反EU機運が広がる可能性があります。

(3)15日の3大イベントを無事通過すれば、一段の株高も

日本の景気・企業業績の回復色が強まっているため、3大イベントを波乱なく通過すれば、日経平均は上値トライすると考えています。ただし、3大イベントでネガティブ・サプライズが起こり、円高が進むと、日経平均の上値トライの時期は後ずれすることになります。