執筆:窪田真之

今日のポイント

  • トランプ大統領の保護主義政策への不安は強まっているが、先週は、米国および世界の景気回復が軌道に乗りつつあることを背景に、NYダウは2万ドル台に上昇。2017年前半は、世界景気回復を買う流れが続く見込み。最大のリスクは円高。トランプ大統領が、円安(ドル高)を敵視する発言を連発すると、円高・株安リスクが高まる。
  • 半導体・工作機械・産業用ロボット・FA機器などへの投資が、米国・中国で盛り上がってくる見込み。設備投資関連株に注目。

(1)米国で設備投資ブーム、中国でも投資が回復

先週から、日本の10-12月期(2017年3月期の第3四半期)決算の発表が本格化しています。円安が進んだ効果、米国・中国の景気が持ち直している恩恵を受けて、業績予想を上方修正する企業が増えています。

これまでの発表で印象的なのは、設備投資関連企業が好調なことです。安川電機(6506)・ファナック(6954)が今期(2017年3月期)の業績予想を上方修正しました。米国および中国で設備投資が盛り上がってきている恩恵を受けています。

今週は、設備投資関連株の10-12月決算発表が続き、注目されます。1月30日(月):日立建機(6305)、31日(火):オークマ(6103)・牧野フライス(6135)・小松製作所(6301)・オムロン(6645)、2月1日(水):日本精工(6471)、2日(木):三菱電機(6503)

米国で設備投資ブームが起こりつつある

米国で、設備投資が盛り上がりつつあります。トランプ大統領は、これから大規模な景気刺激策を取ると宣言していますが、まだ何もしないうちに、米景気は回復色を強めています。

そんな中、トランプ大統領が、世界中の大企業に「米国に投資しろ」と圧力をかけ、それに応じて、世界中の大企業が、米国での投資増額を発表しています。トランプ大統領の力技で強引に米国に設備投資ブームを起こさせようとしているように見えます。

世界中の大企業が、素直にトランプ大統領の言うことを聞いているように見えますが、私は少し異なる見方をしています。米景気は力強く回復しつつあります。トランプ大統領に言われるまでもなく、世界中の大企業が、米国で投資を増やそうと考え始めるタイミングにあると思います。トランプ大統領から投資の要請があったタイミングで、大統領に花を持たせる形で、米国への投資を発表することが得策と考える企業が多いと見ています。

トランプ大統領は運がいいと思います。まだ何もしない内に、米景気は回復色を強め、株が上昇し、その株高を株式市場で「トランプ・ラリー」と呼ぶようになっているからです。さらに、トランプ大統領が何もしないうちに、米国には設備投資の機運が盛り上がりつつあります。そこで、トランプ氏が米国への投資を要請すると、世界中の企業が次々と要請に応じた形で、投資増額を発表しています。

中国でも民間設備投資が盛り上がりつつある

いろいろ構造問題をかかえたままですが、中国景気は足元、持ち直しつつあります。公共投資だけでなく、民間の設備投資が増えてきています。

中国では人件費の高騰が深刻な問題になっており、FA(工場自動化)・ロボット・工作機械などへの投資は、増加が見込まれます。また、中国が世界トップとなったスマホや自動車などでも投資が必要となっています。

(2)2017年は工作機械・産業用ロボット・半導体への投資が盛り上がる見込み

日本ロボット工業会は26日に、2017年の産業用ロボット出荷額が、前年比7%増の過去最高となる見通しを発表しました。

日本工作機械工業会は、2017年の業界の受注総額が、前年比10%程度伸びて、1兆3,500億円になるとの予測を発表しました。

また、IOT(モノのインターネット化)が、あらゆる分野に導入されつつあり、それに伴って、世界的に半導体需要が盛り上がりつつあります。今年は、半導体への投資も盛り上がりそうです。

いろいろな分野で、景気回復が目に見える形で、表れてきています。