執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 2016年前半は、世界景気への不安が広がる中、円高急進、日経平均は急落。後半は、世界景気が好転する中、円安急進、日経平均は急騰。
  • 2016年は、前半と後半で物色動向が正反対に。前半は、景気敏感株・金融株が急落する中、ディフェンシブ株は堅調。後半は、景気敏感株・金融株が急騰する中、ディフェンシブ株は軟調。

(1)2016年の日経平均、振り返り

12月27日の日経平均は、19,403.06円で引けました。この時点で、2016年の日経平均は、2015年末より370円上昇しています。このまま年末まで大きな下げがなければ、以下の通り、日経平均は5年連続の上昇となります。

日経平均の年間騰落率:2008年~2016年(12月27日まで)

(注:楽天証券経済研究所が作成)

2016年は、日経平均は激しく乱高下した年となりましたが、最終的には、小幅のプラスとなる見込みです。1年間の日経平均の変動を示すのが、以下のチャートです。

2016年の日経平均の動き:12月27日まで

(注:楽天証券経済研究所が作成)

2016年の日経平均の動きは、以下の3つの部分に分けられると考えています。

  • 1-6月:世界経済への不安が広がる中、円高が進み、日経平均が急落
  • 7-9月:世界経済への不安が続く中、売られ過ぎの反動で日経平均は底打ち
  • 10-12月:世界経済が好転、円安が進む中、日経平均が急騰

2016年は、ドル円為替も、激しく乱高下しました。年前半は、世界景気への不安が高まる中で、安全資産として「円」が買われました(リスク・オフの円高)。年末にかけて、世界景気の好転により、世界的に株高が進む中で、円が売られました(リスク・オンの円安)。ドル金利が上昇し、日米金利差が拡大したことも、円安(ドル高)要因となりました。

2016年のドル円為替レート:12月27日まで

(注:楽天証券経済研究所が作成)

年前半は、円高急伸が、日経平均をさらに下落させる要因となりました。年末にかけて円安が急伸したことが、日経平均急騰につながりました。

(2)年前半と後半で、物色動向が正反対に

年前半は、世界景気への悲観が深まりました。年後半は、世界景気の好転が意識されました。それを受けて、年前半と後半では、物色動向が、正反対になりました。

1-6月は、景気敏感株・金融株が急落する中、ディフェンシブ株(景気変動の影響をうけにくい安定株)は堅調でした。7-9月は、景気敏感株・金融株が急騰する中、ディフェンシブ株は、上値の重い展開となりました。

物色動向が変わったのが、まさに7月1日です。今年は、偶然ですが、1年の真ん中で、大きく流れが転換しました。

前半と後半で正反対になった2016年の物色動向

コード 銘柄名 種別 株価:円
12月27日
株価騰落率
1月-6月
株価騰落率
7月-12月
2269 明治HLDG ディフェンシブ 9,140.0 4% ▲12%
9437 NTTドコモ ディフェンシブ 2,660.5 11% ▲4%
8306 三菱UFJ FG 金融株 738.1 ▲40% 62%
8411 みずほFG 金融株 215.7 ▲39% 45%
6501 日立製作所 景気敏感株 636.6 ▲39% 50%
7203 トヨタ自動車 景気敏感株 6,968.0 ▲33% 38%
8058 三菱商事 景気敏感株 2,521.0 ▲12% 41%
  日経平均 株価指数 19,403.1 ▲18% 25%

(注:楽天証券経済研究所が作成)