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世界に広がるドナルド・トランプ現象
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略を毎営業日レポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者と…

世界に広がるドナルド・トランプ現象

2016/12/27
私は、現在の世界的な株高の主因は「世界経済の回復」にあると考えています。いわゆる「トランプ・ラリー」は、11月にトランプ氏が次期大統領に当選してから始まりましたが、トランプ氏への期待だけで世界的な株高が進んでいるとは考えていません。当選前から、世界経済の回復は既に始まっていました。
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執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 世界経済の改善を受けて世界株高が進んでいるが、世界に広がるポピュリズムのリスクは高まっている。当面、世界株高が続くと見ているが、政治不安から世界的な株安が起こるリスクには常に警戒が必要。
  • イギリス・フランス・イタリア・フィリピン・韓国など世界各国に過激発言で大衆の人気を集める政治家が現れる「ドナルド・トランプ現象」が広がっている。

(1)世界景気は好転したが、世界の政治不安は続いている

私は、現在の世界的な株高の主因は「世界経済の回復」にあると考えています。いわゆる「トランプ・ラリー」は、11月にトランプ氏が次期大統領に当選してから始まりましたが、トランプ氏への期待だけで世界的な株高が進んでいるとは考えていません。当選前から、世界経済の回復は既に始まっていました。

ところが、大統領選に決着がつくまでは、世界の投資マネーは、リスク資産を増やすことに躊躇(ちゅうちょ)せざるを得ませんでした。トランプ氏が大統領に当選すると世界経済の破壊者になると考えられていたからです。

トランプ当選がわかり、世界の金融市場は一瞬ショック安に見舞われました。ただし、当選後のトランプ氏が過激発言を封印し、逆に過激な景気押し上げ策を取る方針を強調したため、金融市場のムードはガラリと変わりました。もともと世界景気に回復色が出つつある中で、さらに世界経済に強い援軍が現れたと見なされました。その結果、トランプ氏当選を境に、世界の株高が加速しました。

ポピュリズム(大衆迎合主義)の過激発言で物議をかもしたドナルド・トランプ氏が米大統選で勝利してから、世界的に株が上昇したので、世界の株式市場が、ポピュリズムを歓迎しているかのような錯覚にとらわれます。

私は、世界を覆うポピュリズムが、来年も株式市場の重大なリスクであることは変わらないと見ています。世界経済は好転したが、世界のポピュリズム・リスクは、一段と拡大していると考えています。

世界の株式市場は、世界経済の好転をまだ十分には織り込んでいないので、世界的な株高は来年も継続すると思います。ただし、どこかで政治不安が急に高まり、世界の株式が調整するリスクは、常に警戒した方がいいと思います。

(2)ドナルド・トランプ・リスクが、重大なリスク要因であることに変わりはない

世界の株式市場は、今のところトランプノミクス(トランプ次期大統領の経済政策)を歓迎しています。トランプ次期大統領は、外交政策でタカ派姿勢が際立つこと、過激な景気刺激策(減税と公共投資)を打つ方針であることを除けば、今のところ、あたかも普通の共和党主流派の大統領のような政策を進めるように見えます。

「中国・日本・メキシコからの輸入品に高率関税をかける」「NAFTA(北米関税自由協定)廃止」「メキシコとの国境に壁を築く」などの過激発言は、今のところ封印しています。選挙前に批判していたドル高も、今のところ黙認しています。これは、トランプ氏を強烈に支持した低所得層には裏切り行為となります。

トランプ氏は、過激公約を封印する代わりに、過激な景気対策を実施する方針を表明して、低所得者層の歓心を買おうとしているように見えます。普通、大規模な経済対策は景気悪化局面で出動するものです。米景気の回復色が強まる中で大規模財政出動すれば、米景気を過熱させかねません。それでも、大型の景気対策を打つのは、富裕者にも低所得者にも喜ばれる「究極のポピュリズム」に走っているためと考えます。

究極のポピュリズムを今のところ株式市場は好感しています。ただし、実際にトランプノミクスがスタートすれば、これまで封印してきた反グローバル主義・反資本主義の主張も、さまざまな形で出てくると思われます。どこで、どういう形で過激発言が復活するか、そこが、来年の重要なリスク要因となります。

(3)世界に広がる「ドナルド・トランプ現象」

世界に拡大したポピュリズム(大衆迎合主義)は、とどまるところを知りません。世界各国に、過激発言で大衆を煽る政治家が人気を博す「ドナルド・トランプ」現象が広がっています。ポピュリズムは、反グローバル主義、反資本主義と結びつきやすく、警戒を要します。

昨年6月に、過激な演説で英国のEU離脱を可決に導いたボリス・ジョンソン氏(現外務大臣)は「英国版ドナルド・トランプ」と言われます。フィリピンのドゥテルテ大統領も過激発言で有名となり、「フィリピン版ドナルド・トランプ」と言われます。

フランスでは、反EU・反移民を掲げる極右勢力「国民戦線」が急速に勢力を拡大していますが、マリーヌ・ル・ペン党首が、歯に衣着せぬ過激発言で知られ、「フランス版ドナルド・トランプ」と言われます。イタリアでも、スペインでも、ドイツでも、過激発言の極右または極左勢力のリーダーが人気を博しています。

来年は、欧州で選挙があるたびに、極右・極左勢力の拡大が話題になるでしょう。欧州の極右・極左勢力は、反移民・反EUを主張して大衆の喝采を受けています。政権を取るまでに成長すると、EU崩壊の危機が拡大します。

韓国では、現在職務停止中で来年4月にも退陣する朴(パク)大統領の、後任争いが始まっています。ここでも、ドナルド・トランプ現象が起こっています。過激発言から「韓国版ドナルド・トランプ」と呼ばれる城南市の李在明(イ・ジェミョン)市長が、反政府運動の追い風に乗って、急速に支持を拡大しています。激しい言葉で相手を罵倒し、大衆から喝采を浴びる手法は、ドナルド・トランプ氏と共通です。

ポピュリズム(大衆迎合主義)の氾濫は、民主主義の欠陥ともいえます。正しい知識に基づかず、激しい言葉で大衆を洗脳する政治家に、大衆の支持が集中する問題を、抑制する術が見つかりません。

ただ、それでも、言論の自由が保証されない独裁政治よりは、民主主義の方がましと言えます。中国や北朝鮮のように、言論の自由が制限されている国では、ポピュリズムの蔓延が起こりにくい反面、独裁者の暴走を止める術がありません。ポピュリズムと独裁政治が、来年の世界株式市場にとって引き続き脅威となると考えています。

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