(2)外国人の売買動向をどのように知るか?

東証が発表している「2市場1・2部主体別売買動向」が、一番早く入手できる信頼できるデータです。

欠点は、発表までに時間がかかることです。1週間の売買データがわかるのが、次の週の木曜日の夕方となります。新聞では、金曜日の朝刊に、前週の主体別売買についての記事が出ます。1週間以上遅れて発表されるとは言え、正確性が高いことから、情報価値は高いといえます。

ただし、月曜日が祝日の場合は、東証のデータ発表が金曜日になります。その場合、新聞では土曜日の朝刊に掲載されます。

ちなみに、先週(10月11-14日)の主体別売買データは、明日(10月20日木曜日)の夕方に発表される予定です。

新聞や証券レポートでコメントされる外国人売買は、東証が発表している2市場1・2部株式現物の買い越し・売り越しです。これを見ていれば、外国人の動きをほぼ正確にとらえることができます。そこを見ていれば、だいたいの流れはわかります。

ただし、より正確を期するためには、株式現物だけでなく、日経平均先物の売買も併せて見る必要があります。多くの場合、外国人が株の現物を買い越しているときは、先物も買い越していますが、たまに株式現物と先物の売買方向が逆になることがあり、注意が必要です。

外国人売買で、何か変わった動きがあった時は、本レポートでコメントします。外国人の売買データをどこで見ていいかわからない方は、ぜひ本レポートを継続的にお読みいただきたいと思います。

(3)外国人売買データの利用の仕方

私は、次のように考えています。

  • 外国人が毎週連続で買い越している時 → 強気
  • 外国人が毎週連続で売り越している時 → 弱気
  • 外国人が1週間ごとに買い越したり売り越したり変わる場合 → 中立(判断不能)

相場の転換点は、外国人の売買動向が変わるところから、始まります。売り越しが続いていた外国人が、ある時、週間で買い越しになったことがわかった時、どう判断するかが重要です。ここから毎週買い越しに変わると判断するか、あるいは、売り越し・買い越しが交互に出るパターンが始まったと判断するか、読みが重要です。

それを判断する決まった方法は、ありません。物色動向や売買のやり方、市場の噂などを総合的に判断して、新たな買いトレンドが始まったか否かを考えなければなりません。

本レポートでしばしば、「産油国が売っている・買っている」「海外ヘッジファンドが売った・買った」「日経平均リンク債からみの先物売りが出た」「公的年金の買いが止まった」などのコメントを載せていますが、それは、私独自の情報の取り方と読み方から出ています。東証が公表するデータに加えて、こうした市場を動かす投資家の動きを観察することが、外国人の売買トレンドをなるべく早く掴むことにつながります。

私は25年間、ファンドマネージャーとして外国人の売買を見てきたので、単に相場つきを見るだけで、外国人の動きを推定できる場合もあります。突然、大型株の株価をぶっ飛ばして買うような買い方は、たいてい外国人です。その逆に、大型株を突然暴落させるのも、往々にして外国人です。

その経験から言うと、10月に入り、一部外国人が日本株を買ったものの、足元の相場つきを見ると、まだ本格的な買いスタンスにはなっていないと考えられます。

今日のレポートは、昨日のレポート「誰が買って誰が売る?日本株の需給を読む」の続きです。昨日のレポートをお読みでない方は、この下にある「前のレポートへ」をクリックして、前日のレポートも、お読みいただけると幸甚です。