執筆:窪田真之

今日のポイント

  • 日経平均の上昇下落が、ほとんど外国人の売買で決まる状況が、25年あまり続いている。外国人の売買にあわせて動くことが成功につながりやすい。ただ最近は、公的年金および日銀が、外国人と並ぶ大きな影響を日本株市場に与えるようになっていることも勘案する必要がある。
  • 東証が公表する主体別売買データで外国人の売買動向を知ることができるが、欠点は発表まで1週間弱かかることだ。東証データに加え、市場のうわさや相場つきを見ながら、外国人の売買を推定する必要がある。

(1)2016年の外国人の売買動向

昨日のレポートで、日本株の短期的な動きを決めているのが外国人投資家であること、短期的な相場予測には、外国人売買の読みが重要であることを書きました。今日は、外国人の売買動向を知るには、具体的にどこを見たらよいか、書きます。

その前に、まず、2016年の外国人投資家の売買動向(週次データ)を見てみましょう。

日経平均と外国人の日本株売買動向(株式現物と日経平均先物の合計):2016年1月4日―10月18日)

(出所:東証データより楽天証券経済研究所が作成、外国人売買動向は株式現物および日経平均先物の合計、プラスは買い越し、マイナスは売り越しを示す)

上のグラフは、外国人の株式現物と日経平均先物を合計した売買動向を示しています。ご覧いただくとわかる通り、日本株の上昇下落が、ほとんど外国人の売買で決まっていることがわかると思います。このように外国人の売買で日本株の動きが決まる状況が、25年あまり続いています。

ただし、最近、外国人と並んで、日本株の動きに大きな影響を与える主体が現れています。それが、公的資金(公的年金および日銀)です。

2016年の日経平均は、ほとんど外国人の売買で動いています。ところが、よく見ていただくと、そうとも言えない部分があります。それが、上のグラフで赤い矢印をつけたところです。2月後半は、外国人が大幅に売り越している中で、日経平均が急反発しています。公的年金と日銀の買いが反発の要因となったと思われます。

また、2016年9月は、外国人が大量に売っている割りに日経平均は底堅い動きとなりました。日銀が日本株ETFを8,303億円買いつけたことが、相場を下支えしました。

10月第1週(3日―7日)は、外国人が株式現物および先物を買い越したことが、日経平均が一時17,000円を回復する原動力となりました。