facebook twitter
米FOMCは予想通り利上げなし、やや円高進む
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

米FOMCは予想通り利上げなし、やや円高進む

2016/3/17
5日の日経平均は142円安の16,974円でした。イベント(米FOMC(金融政策決定会合)の結果発表)を控え、1ドル113円台に円高が進んだことから、利益確定売りが出ました。
facebook twitter メールで送る 印刷

15日の日経平均は142円安の16,974円でした。イベント(米FOMC(金融政策決定会合)の結果発表)を控え、1ドル113円台に円高が進んだことから、利益確定売りが出ました。

16日(日本時間では17日午前3時)に、米FOMC結果が発表されました。事前の市場予想通り、利上げはありませんでした。年内の利上げ見通しについて、FOMCメンバーの予想(中央値)も下方修正されました。これまでは0.25%の利上げが年内4回想定されていましたが、2回に減りました。これを受けて、1ドル112円台に円高が進行しました。為替は日本時間で17日午前6時現在1ドル112.57円、同時刻のCME日経平均先物は16,815円です。

(1)米FOMC声明文・イエレン議長の発言から読み取れること

今回、利上げが実施されないことは、事前予想通りでした。ただし、FF金利の2016年末の予想値(FOMCメンバーの予想中央値)が、1.375%から0.875%まで引き下げられたのは、やや意外感がありました。年内の追加利上げ回数が、これまでは4回(利上げ幅合計1%)想定されていましたが、2回(同0.5%)に減少しました(注)。

(注) 現在のFF金利の誘導水準は0.25-0.5%(中央値は0.375%)です。これまで年内1%(0.25%の利上げを4回)の利上げが想定されていましたが、今回のFOMCメンバー予想では0.5%の利上げ(0.25%の利上げを2回)しか想定されていないことになります。

FOMC声明文では、米景気は堅調で、とりわけ労働市場の改善が進んでいるとの認識が示されています。ただし、世界景気の減速や金融市場の状況を考えると、追加利上げの環境が整うのに、やや時間を要するとの解釈につながっています。

これまで市場コンセンサス予想では、年内2~3回の利上げが想定されていましたが、今後、年内利上げ回数は1~2回が市場コンセンサスになると思われます。3月の利上げが見送られた後、6月に利上げが行われるかが、次の焦点でしたが、6月の利上げも難しいという印象につながっています。ちなみに、私の予想では、年内の追加利上げは年末に1回のみです。

これを受けて、為替はやや円高に進みました。ただし、FOMC結果発表後の、米FRB(中央銀行)のイエレン議長の会見で、年内の利上げは可能との見通しを改めて示したことから、大幅な円高進行にはつながっていません。イエレン議長が年内利上げの根拠としているのが、アメリカで足元インフレ率が上昇していることです。

今回のFOMCのメッセージをすべてトータルして見ると、米利上げはやや難しくなったものの、先行き利上げが進むとの見通し自体を否定するものとはなりませんでした。その結果が、1ドル112円台への円高進行となりました。

(2)トランプ旋風も少しずつ影響か

アメリカの大統領予備選挙で、共和党候補者で、人種や宗教への差別発言や、極端な対外強硬論が目立つドナルド・トランプ氏への高い支持率が継続しています。共和党の大統領選候補者が、トランプ氏になる可能性も高まりました。民主党では、クリントン氏が指名に近づいています。大統領選が、クリントン氏とトランプ氏の一騎打ちになる可能性出てきています

トランプ氏が人気を博している背景に、強いアメリカを取り戻すというメッセージを繰り返していることがあります。トランプ氏は、メキシコ・中国・日本などの国々が、米国の雇用を奪っていると非難しています。メキシコとの国境の間に、万里の長城のような壁を築き、不法移民の流入を防ぐと話しています。日本は為替を操作(円安誘導)しているとし、日本の輸出企業を名指しで批判しています。TPPも何も生み出さないとして、反対を表明しています。

トランプ氏の発言は、日本企業が米国で現地生産を拡大し、米国の雇用を拡大している事実を無視しているとの批判はありますが、問題は、為替操作への言及です。こうした発言を繰り返すトランプ氏が人気を博していることが、クリントン氏の発言にも影響を与え始めています。実際、TPPを支持していたクリントン氏は、今のままではTPPに賛成できないと発言を変えています。

今後、日本の円安誘導を容認しないムードが米政界に広がる可能性には注意が必要です。米FRBは独立性を維持しており、今の大統領選のムードから影響を受けているわけではありませんが、まったく影響がないともいえません。利上げはドル高につながり、米輸出企業の競争力をさらに低下させることになります。米大統領選のムードも利上げに逆風になりつつある可能性もあります。

(3)世界に広がる反グローバル主義

最近、世界中の国々に、孤立主義(他国との関係を絶つ)・対外強硬論(他国を非難する)が広がりつつあることに懸念を感じます。アメリカの大統領選でトランプ旋風が吹きやまないのは、米国内に反グローバル主義が広がりつつある兆しと見ることもできます。トランプ氏が大統領にならなかった場合でも、米国内に反グローバル主義が広がりつつあること自体は変わらないので、今後の米国の外交の変化には注意が必要です。

反グローバル主義が人気を博しているのは、米国だけではありません。英国でも、EU(欧州共同体)からの離脱論が人気を博しています。EUから離脱すると、ロンドンの国際金融市場としての価値は低下し、英国経済にマイナスととらえられています。それでも、孤立主義に進みたいというムードがイギリスにも広がっています。ドイツでも、難民受け入れに反対する政党が大躍進しています。世界的に反グローバル政党が力を得つつあることは、注意を要する事態です。

【この記事に対するアンケート回答はこちらから】

トウシルのオススメ記事

▲トウシルトップページへ

 

 
世界のリスク
はじめての下落相場
年末高
ラクしてちょい稼
このレポートについてご意見・ご感想をお聞かせください米FOMCは予想通り利上げなし、やや円高進む

本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。

記事についてのアンケート回答確認

米FOMCは予想通り利上げなし、やや円高進む

今回のレポートはいかがでしたか?
コメント
世界のリスク
 
年末高
 
投資ワクワク
 
お宝優待株
 
投資の失敗
 
はじめての下落相場
 
はじめよう株主優待生活
 
人気ブロガー
 
NISAつみたてNISAロールオーバー
 
老後破綻
 
動画でわかる
 
メールマガジン

直近1日の記事を配信します

配信:平日毎営業日配信
祝日・GW・夏季/冬季休暇 を除く

公式SNS

タイムリーな情報を
ゲットできます

配信:記事配信時 随時
facebookおよびTwitterには一部配信しない記事もあります

TOP
×
トウシル メールマガジン および SNSについて
メールマガジン 申込み

トウシルメールマガジンではレポートやコンテンツ等、直近1日の記事をお知らせします。
本メールは配信希望のお客様に平日毎日お届けしております。
リアルタイムでの情報取得は、公式SNS(facebook、twitter)もあわせてご利用ください。

  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。
メールマガジン サンプル
メールマガジンサンプル
  • 「メールマガジン 選択/受付」画面から購読を選択できます。
  • 楽天証券のメルマガをすでに配信希望にされている方は、
    初期設定としては購読申し込みとなっている場合があります。
  • メールマガジン購読申し込みには、楽天証券会員登録(口座開設)が必要となります。
Gmailサービスをご利用の方へ
メールマガジンを受信時正しく表示されないことがございます。あらかじめご了承ください。