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大手銀行株が急落した背景と現在の投資判断について
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

大手銀行株が急落した背景と現在の投資判断について

2016/2/23
22日の日経平均は143円高の16,111円でした。日経平均はしばらく16,000円を中心としたレンジで推移すると予想しています。
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22日の日経平均は143円高の16,111円でした。日経平均はしばらく16,000円を中心としたレンジで推移すると予想しています。

さて、多くの読者の方から引き続き「銀行株レビュー」の依頼をいただいています。今日は、大手銀行株の投資判断について書きます。

(1)2007年以降の大手銀行株の値動きを簡単に振り返り

3メガ銀行(三菱UFJ FG(8306)、三井住友FG(8316)、みずほFG(8411))の株価が最近急落しましたが、財務内容や収益力が急激に悪化しているわけではないと判断しています。好配当利回り株としての魅力はさらに高まったと考えています。

3メガ銀行の株価バリュエーション:2月22日時点

コード 銘柄名 2月22日 配当 PER PBR 最小売買金額
8306 三菱UFJ FG 477.3円 3.8% 6.9倍 0.43倍 47,730円
8316 三井住友FG 3,026.0円 5.0% 5.4倍 0.46倍 302,600円
8411 みずほFG 166.3円 4.5% 6.5倍 0.51倍 16,630円

(注:配当利回りは会社予想ベース、楽天証券経済研究所が作成)

その理由を説明する前に、簡単に過去の株価推移を振り返ります。

日経平均と3メガ銀行株の値動き比較:2007年1月―2016年2月(22日まで)

(注:2007年1月末の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成)

ご覧いただくとわかる通り、大手銀行株は2007年以降、長期にわたって日経平均を下回るパフォーマンスとなっています。そうなった主な理由は、以下の2つと考えています。

  • 長期金利低下

2007年以降、長期金利は低下し続けています。長期金利の低下で、国内の預貸金利ざや(貸付金利と預金金利の差)が縮小することが不安視されています。

日本の長期金利(10年新発国債利回り)推移:2007年1月―2016年2月(22日まで)

  • 銀行の自己資本規制強化

リーマンショック後、欧米で銀行の自己資本規制が強化されました。リーマンショックで財務的に傷ついた欧米の銀行が多数破綻しましたが、銀行が破綻すると社会的影響が大きいので、破綻を防止するために、自己資本を従来以上に厚くすることを求める規制(新BIS規制)が導入されました。日本の銀行は、リーマンショックによるダメージが相対的に小さく、財務内容は良好でした。それでも、国際的な規制強化の影響を受け、大規模な増資を実施して自己資本を厚くする必要に迫られました。増資で財務はさらに強固になりましたが、ROE(自己資本利益率)は低下し、株価低迷が続く結果を生じました。

(2)大手銀行株は2015年前半に見直されて上昇も、後半から急落

先ほど、2007年以降の長いチャートを見ましたが、2015年以降の値動きをさらに細かく見ます。2015年前半は、大手銀行株の上昇率が、日経平均を上回りました。海外収益拡大で、2015年3月期に高水準の利益をあげたことが評価されました。

日経平均と3メガ銀行株の値動き比較:2015年1月5日―8月7日

(注:2015年1月5日の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成)

2015年3月期決算で、3メガ銀行の収益力の高さが改めて見直されました。

  • 三菱UFJ FG(8306):純利益が1兆337億円で前年比5%増加して最高益を更新
  • 三井住友FG(8316):純利益が7,536億円で、前年比10%の減益
  • みずほFG(8411):純利益が6,119億円で、前年比11%の減益

国内では利ざや縮小が続いたが、利ざやが相対的に厚い海外で収益を拡大しました。円安で外貨収益の円換算額が膨らんでいることも収益拡大に寄与しました。

ところが、2015年8月以降、大手銀行株は、再び大きく下がりました。2016年1月29日に、日銀がマイナス金利導入を発表すると、さらに急落しました。

  • 日銀のマイナス金利導入発表で、長期金利がマイナス圏に下がり、銀行の利ざやがさらに縮小する懸念が生じたこと。
  • ドイツ銀行の信用不安をきっかけに欧州銀行全体に不安が広がり、欧米で銀行株が急落しましたが、その余波で日本の銀行株にも外国人の売りが増えたこと。

欧州の銀行不安について、詳細は以下をご参照ください。

2月16日のレポート「ヨーロッパの信用不安について」

日経平均と3メガ銀行株の値動き比較:2015年8月7日―2016年2月22日

(注:2015年8月7日の値を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成)

(3)マイナス金利が銀行に及ぼす影響

収益の分散化が進んでいる3メガ銀行へのマイナス影響は相対的に小さいと考えています。長期金利低下の影響で、来期減益の可能性がありますが、減益率は10%程度で済む予想しています。

ただし、ゆうちょ銀行(7182)・かんぽ生命(7181)や、地方銀行・その他中小金融機関の減益率は大きくなる可能性があります。運用の大部分を国債に依存し、収益の分散化が進んでいないからです。したがって、今、銀行株を保有するならば、予想配当利回りが高く、収益が相対的に安定的な3メガ銀行の方が良いと考えています。

詳しい説明は、以下のレポートをご参照ください。

2月2日のレポート「マイナス金利が銀行・生損保・その他金融に与える影響」

3メガ銀行が発表した2015年10-12月決算は、利ざや縮小で減益となっていますが、それでも高収益は維持しています。財務内容は良好で、不良債権比率は低水準に留まっています。不良債権比率が高く、収益力・財務内容とも悪化している欧州の銀行が売られた時に、いっしょに売られる理由は乏しいと考えています。

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