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ヨーロッパの信用不安について
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略を毎営業日レポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者と…

ヨーロッパの信用不安について

2016/2/16
15日の日経平均は1,069円(7.1%)高の16,022円となりました。先週の下げが急で、テクニカル指標で短期売られ過ぎのシグナルが出ていたので、大きな反発となりました。
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15日の日経平均は1,069円(7.1%)高の16,022円となりました。先週の下げが急で、テクニカル指標で短期売られ過ぎのシグナルが出ていたので、大きな反発となりました。

今日は、最近、話題になっている欧州の銀行不安について書きます。

(1)欧州の銀行不安がなぜ今、蒸し返されるのか?

欧州には、高水準の不良債権を抱える銀行が多数あります。それは、今に始まった話ではありません。アメリカの不動産(住宅)バブルが崩壊し、リーマンショックが起こった時、欧州でも不動産バブルが弾け、欧州の銀行は軒並み多額の不良債権を抱えました。その時から、欧州の銀行の不良債権問題は続いています。これまで長い年月をかけながら、少しずつ不良債権の処理を進めてきたところです(注)。

(注)米国と欧州で、不良債権の処理方法が異なります。米国は、多数の銀行を破綻させ、違反行為のあった銀行経営者を次々と逮捕して短期に処理を進めました。欧州は短期に処理せず、問題を長引かせています。日本の1990年代の不良債権処理と似ています。

欧州の銀行の財務内容は少しずつ改善に向かっていましたが、ここに来て、再び欧州の銀行不安が蒸し返されることになりました。きっかけを作ったのはドイツ銀行です。ドイツ銀行は、規制上の罰金や訴訟費用がかさみ、2015年に過去最高の68億ユーロ(約8,700億円)の赤字を計上しました。ドイツ銀行の財務への不安から、同行が発行するCOCO債と言われる社債が急落しました。それが引き金となって、イタリアのウニクレディト、スペインのサンタンデールなど不良債権比率の高い欧州の銀行の発行するCOCO債が一斉に急落しました。

ECB(欧州中央銀行)が金利のマイナス幅をさらに拡大する姿勢を示していることも影響しました。金利のマイナス幅拡大で、欧州の銀行利ざやがさらに縮小し、不良債権処理が今後思うように進まなくなる懸念を生じました。

ドイツ銀行のケースはさらに深刻です。ロンドン銀行間金利(LIBOR)の不正操作で、米英当局などから既に1兆円以上の制裁金を課せられています。三菱UFJ FG(8306)は2013年にドイツ銀行から、米国での不動産向け貸し出し資産を総額37億ドル(約4,200億円)で買収しました。財務悪化で資金を必要とするドイツ銀行が売る金融資産を、海外事業拡大を進める三菱UFJが買い取ったものです。

ドイツ銀行は信用不安を収束させるため、今回、自社が発行する通常債券約6,000億円分を、市場から買い戻す方針を発表しました。ドイツ銀行が危機的な状況にないことを示すための買い戻しです。これで危機的な状況にないことは示せますが、ドイツ銀行の財務が悪化している事実は変わりません。

(2)欧州のソブリンデット(国家債務)問題は改善歩調

欧州には2つの信用不安があります。1つは、銀行の不良債権問題、もう1つは、過重債務国のソブリンデット問題です。リーマンショック時、ギリシャを始めとする欧州過重債務国のソブリンデット問題も、世界の金融市場に不安を撒き散らしました。特に、頭文字をつなげ「PIIGS(ピーグス)」と呼ばれた5カ国(ポルトガル・イタリア・アイルランド・ギリシャ・スペイン)の信用が懸念されました。

ただし、その後、欧州各国は緊縮財政を続けて、経常赤字を縮小し、財務の改善を進めてきました。これからも欧州のソブリンデット不安が蒸し返すリスクはありますが、問題自体は、今のところ改善に向かっているところです。

欧州主要国の経常収支黒字(赤字)の名目GDPに占める比率:
2007年―2015年

(出所:IMF、2015年はIMF予測)

リーマンショック直後に、経常収支赤字がGDPの14%に達していたギリシャ、10%に達していたスペインとも、緊縮財政を続けた効果で、2013年から経常黒字に転じています。

一方、ブラジルなど資源国では、資源価格の急落を受け、経常収支が大幅に悪化しています。中国も、経常黒字幅が大きく縮小しています。

資源国、中国の経常収支黒字(赤字)の名目GDPに占める比率:
2007年―2015年

(出所:IMF、2015年はIMF予測)

(3)欧州の信用不安より、資源国の信用不安を警戒すべき

欧州の銀行不安が世界的な危機に発展する可能性は低いと、私は思います。過去8年で見ると、資源国の信用が低下する中、欧州の信用不安は緩和する方向に進んでいたからです。国名を挙げると、PIIGS(ポルトガル・アイルランド・イタリア・ギリシャ・スペイン)の信用不安が緩和する中で、ベネズエラ・ブラジル・南アフリカなどの信用が低下した局面であったと言えます。また、資源国ではありませんが、ウクライナの信用も低下しています。

今は、欧州よりも資源国を心配した方が良い状況と思います。資源関連のファイナンス、債務の多い資源国の信用不安には、引き続き注意が必要です。

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