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株主優待目当ての投資は問題か?(その2)
窪田 真之
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

株主優待目当ての投資は問題か?(その2)

2015/12/10
9日の日経平均は、191円安の19,301円でした。海外発の不安材料が増えていることを受けて、外国人から先物売りが出ている模様です。日本の景気・企業業績の回復トレンドは変わらないと考えていますので、下がったところは買いのスタンス継続でいいと考えています。
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9日の日経平均は、191円安の19,301円でした。海外発の不安材料が増えていることを受けて、外国人から先物売りが出ている模様です。日本の景気・企業業績の回復トレンドは変わらないと考えていますので、下がったところは買いのスタンス継続でいいと考えています。

今日は、まず足元の日経平均の動きを解説した後、昨日に続き、株主優待投資について、私が考えていることを書きます。

(1)原油急落が世界の金融市場に冷や水

今週は、海外発の不安材料が増えていますが、国内からは、とりたてて悪材料が出ていません。7日発表の7-9月GDP改定値ではマイナス成長がプラス成長に修正されました。9日発表の10月の機械受注では、設備投資の先行指標と言われる船舶・電力を除いた民需が、前月比10.7%増と、事前予想(1.2%の減少)を大幅に上回りました。

それでも、日経平均が下落しているのは、海外発の不安材料が増えたからです。特に、原油先物が安値を更新し、産油国の景気が一段と冷え込みそうなことが嫌気されています。原油価格の安値がこのまま長引けば、再び産油国から世界の株式に売りが増える懸念もあります。

ニューヨークWTI原油先物(期近)推移:2014年4月1日~2015年12月8日

また、ISによるテロ続発を受けて、米国世論が右傾化し、対外強硬策で知られるドナルド・トランプ氏の支持率が上昇していることも、世界の金融市場のかく乱要因となる可能性があります。

(2)株主優待目当ての投資の困った側面

ここからは、昨日のレポートの続きです。昨日は、株主優待目当ての投資のすぐれた側面について説明しました。今日は、困った側面を話します。以下の3点が挙げられると思います。

  • 優待魅力に惹かれて投資する人の一部に、財務内容や企業業績をまったく見ないで投資する傾向がある。
  • 優待魅力に惹かれて投資する人の一部に、株価をまったく見ない人もいる。気付かないうちに株価が大きく下落して損が膨らむこともある。
  • 株主優待制度が突然廃止されることがある。

それでは、上記の具体例をこれからお話しします。

(3)2010年日本航空破たんで、優待目当て投資の問題が浮きぼりになる

「優待目当ての投資は良くない」例として有名になったのは、破たん前の日本航空です。日本航空は、株主に対して、航空運賃が正規料金の半値になる株主優待券を配賦していました。日本航空は、かつて国営企業つまり「親方日の丸」企業でしたので、「まさか破たんすることはないだろう」と、財務内容を見ずに優待目当てで投資していた個人投資家が多数いたことが知られています。

破たん後に再生して再上場した現在の日本航空(9201)は、財務内容も収益力も回復し、魅力的な投資対象になっていると思います。ところが、破たん前の日本航空は、財務内容に重大な問題を抱えていました。私は、日本航空の破たん時にファンドマネージャーをやっていましたが、当時の日本航空は実質債務超過であったことから、投資不可リストに入れており、投資することはありませんでした。

「実質債務超過」とは、自己資本が実質マイナスということです。当時、表面上、自己資本はプラスでしたが、開示されている財務諸表の注記事項をきちんと見れば、退職給付債務(年金)の積み立てに大きな不足があり、差し引きすると、実質債務超過であったことがわかっていました。また、LCC(低運賃の航空会社)の新規参入で、世界的に航空会社の経営は悪化しており、米国では大手航空会社の経営破綻が相次いでいました。元「親方日の丸」企業だったからというだけで、信頼することはできない状況だったと思います。

さらに、ジャンボジェット機のリース契約にもかなりの含み損があり、財務内容を見れば、投資対象として不適切だったことがわかります。

(4)赤字でも株価堅調な日本マクドナルドHLDG(2702)のなぞ

まずは、日本マクドナルドの業績と株価の推移をご覧ください。

日本マクドナルドの業績推移

(単位:億円)

決算期 2012年
12月期 実績
2013年
12月期 実績
2014年
12月期 実績
2015年
12月期 会社予想
売上高 2947 2604 2223 2000
経常利益 237 102 ▲79 ▲310

(出所:同社有価証券報告書および決算短信、▲は赤字)

日本マクドナルドの過去4年の株価月足:2012年1月~2015年12月(9日まで)

日本マクドナルドの苦戦が続いています。過去4年間で業績は大きく悪化し、今期は大きな赤字を計上する見込みです。ところが、株価を見ると、不思議なことに堅調です。特に、大きな赤字を計上する2015年に株価が上昇しているのは「なぞ」と言われています。

日本マクドナルドにはとても魅力的な株主優待制度があります。そのため、個人投資家の保有が多いことで知られています。不祥事や業績悪化で株価が下がる時、個人投資家から優待狙いの買いが入るので、株価が大きく下がらないで済んでいるという見方もあります。

日本マクドナルドの株主優待内容

年2回、株主優待を実施。毎年6月末と12月末に株主名簿に氏名が記載されている株主に対して、以下の通り、優待食事券を配布。

保有株式数 株主優待の内容
100株以上 優待食事券1冊
300株以上 優待食事券3冊
500株以上 優待食事券5冊

(注:優待食事券1冊に、バーガー類、サイドメニュー、ドリンクの無料引換券が6枚入っている)

(出所:同社HP)

機関投資家は、不祥事(期限切れ鶏肉使用や異物混入)が続き、業績が悪化していく銘柄の株価を上昇させながら買っていくことは、あまりありません。業績が悪化していても、株価があまり下がっていない日本マクドナルド株に私は、今はまったく投資魅力を感じません。

マクドナルドのハンバーガーは昔から好きですが、今は他の好配当利回り株に投資して、受け取った配当金でマクドナルドに買い物にいった方がよいと考えます。なお、以上はあくまでも私の意見で、最終的な投資判断はご自身でお願いいたします。

(5)株主優待とどう付き合っていくか

株主優待は、昨日のレポートで書いた通り、個人株主にとって、とてもありがたい制度です(昨日書いた通り、機関投資家の多くにとっては迷惑な制度でもあります)。これを有利に生かさない手はないと思います。自分にとって魅力的な優待を実施している企業に長期投資し、株式投資を楽しんだら良いと思います。

ただし、その時、最低限、気を付けるべきは以下の2点です。

  • 重大な不祥事を起こしている企業、赤字に転落している企業、構造不況におちいっている企業は、たとえ株主優待が魅力的でも、買わない方がいいと思います。保有している企業がそうなってしまったら、売るべきと思います。
  • 理由がよくわからなくても、株価がどんどん下がっていく時は、一旦売りましょう。どんな株でも、「ここまで下がったら売り」という損切りのターゲットを決めておくと良いと思います。あまり大きく下がってしまうと損切りの決断ができなくなる人は、買い値から10%下がったら売るというような、目安を最初から決めておくといいです。

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