(4)赤字でも株価堅調な日本マクドナルドHLDG(2702)のなぞ

まずは、日本マクドナルドの業績と株価の推移をご覧ください。

日本マクドナルドの業績推移

(単位:億円)

決算期 2012年
12月期 実績
2013年
12月期 実績
2014年
12月期 実績
2015年
12月期 会社予想
売上高 2947 2604 2223 2000
経常利益 237 102 ▲79 ▲310

(出所:同社有価証券報告書および決算短信、▲は赤字)

日本マクドナルドの過去4年の株価月足:2012年1月~2015年12月(9日まで)

日本マクドナルドの苦戦が続いています。過去4年間で業績は大きく悪化し、今期は大きな赤字を計上する見込みです。ところが、株価を見ると、不思議なことに堅調です。特に、大きな赤字を計上する2015年に株価が上昇しているのは「なぞ」と言われています。

日本マクドナルドにはとても魅力的な株主優待制度があります。そのため、個人投資家の保有が多いことで知られています。不祥事や業績悪化で株価が下がる時、個人投資家から優待狙いの買いが入るので、株価が大きく下がらないで済んでいるという見方もあります。

日本マクドナルドの株主優待内容

年2回、株主優待を実施。毎年6月末と12月末に株主名簿に氏名が記載されている株主に対して、以下の通り、優待食事券を配布。

保有株式数 株主優待の内容
100株以上 優待食事券1冊
300株以上 優待食事券3冊
500株以上 優待食事券5冊

(注:優待食事券1冊に、バーガー類、サイドメニュー、ドリンクの無料引換券が6枚入っている)

(出所:同社HP)

機関投資家は、不祥事(期限切れ鶏肉使用や異物混入)が続き、業績が悪化していく銘柄の株価を上昇させながら買っていくことは、あまりありません。業績が悪化していても、株価があまり下がっていない日本マクドナルド株に私は、今はまったく投資魅力を感じません。

マクドナルドのハンバーガーは昔から好きですが、今は他の好配当利回り株に投資して、受け取った配当金でマクドナルドに買い物にいった方がよいと考えます。なお、以上はあくまでも私の意見で、最終的な投資判断はご自身でお願いいたします。

(5)株主優待とどう付き合っていくか

株主優待は、昨日のレポートで書いた通り、個人株主にとって、とてもありがたい制度です(昨日書いた通り、機関投資家の多くにとっては迷惑な制度でもあります)。これを有利に生かさない手はないと思います。自分にとって魅力的な優待を実施している企業に長期投資し、株式投資を楽しんだら良いと思います。

ただし、その時、最低限、気を付けるべきは以下の2点です。

  • 重大な不祥事を起こしている企業、赤字に転落している企業、構造不況におちいっている企業は、たとえ株主優待が魅力的でも、買わない方がいいと思います。保有している企業がそうなってしまったら、売るべきと思います。
  • 理由がよくわからなくても、株価がどんどん下がっていく時は、一旦売りましょう。どんな株でも、「ここまで下がったら売り」という損切りのターゲットを決めておくと良いと思います。あまり大きく下がってしまうと損切りの決断ができなくなる人は、買い値から10%下がったら売るというような、目安を最初から決めておくといいです。