先週の日経平均は、1週間で539円上昇して15,318円となりました。先々週、イラク・ウクライナなどの地政学リスクの高まりを嫌気して744円下がりましたが、その72%を取り戻しました。

(1)日経平均は、今しばらく膠着へ

一旦下値をトライしましたが、すぐに15,000円台に戻ってきたため、下値の堅さが確認できました。ただし、すぐに上値をトライする条件は整っていません。今しばらく15,000円台で膠着相場が続きそうです。

日経平均

(2012年11月~2014年8月15日)

(注)楽天証券経済研究所が作成

アベノミクス相場が実質的にスタートした2012年11月以降の日経平均を示しているのが、上の図です。昨年5月まで急騰しましたが、その後1年以上、1万5,000円を中心としたボックス相場が続いています。

(2)景気停滞が、日経平均の上値を抑制

膠着相場が続くのは、消費税引き上げ後の国内景気が、停滞しているためと考えられます。4-6月のGDP落ち込みは、意外に大きくなりました。

  • 2014年4-6月GDP(速報値)は、前期比年率▲6.8%と大きなマイナスとなりました。4月1日からの消費増税の影響で内需が落ち込みました。円安が進んだにもかかわらず、輸出の回復も遅れています。
  • 2014年4-6月の鉱工業生産指数は前期比▲3.7%のマイナスでした。
  • 日本の長期金利(新発10年もの国債利回り)は、先週一時0.495%まで低下しました。

(3)いつまで膠着相場が続くか

アベノミクス開始後の日経平均の動きは、不良債権問題から解放された2003年5月以降の日経平均と似ています。

日経平均

(2003年5月~2005年12月)

(注)楽天証券経済研究所が作成

不良債権問題から解放された日本経済は、2003年には景気回復の勢いが強くなりました。ただし、2004年には、「踊り場」と言われる景気停滞期に入りました。2004年後半にはGDPや鉱工業生産指数が、一時的にマイナスとなりました。この環境を映して、日経平均は1年以上11,000円近くで膠着しました。その後、2005年には、再び景気回復の勢いが強くなり、日経平均は大きく上昇しました。

アベノミクス相場が実質的にスタートした2012年11月から現在までの日経平均と、2003年5月から2005年12月までの日経平均を比較したのが、以下のグラフです。

日経平均の動き比較

赤線は、2012年11月~2014年8月15日まで
青線は、2003年5月~2005年12月まで

(注)上昇相場スタート地点である2003年4月25日と、2012年11月9日の日経平均を100として指数化、楽天証券経済研究所が作成

今の日経平均が、2003年5月~2005年12月の日経平均とまったく同じ上昇パターンを描くと仮定すると、これからさらに3~4カ月日経平均はボックス相場が続くことになります。そして3~4カ月後に大きく上放れることになります。

私は、企業業績の上方修正が増えると考える10月ころに日経平均は1万6,000円を超えて上昇すると予想しています。