先週の日経平均は、1週間で252円上昇して15,349円となりました。公的年金および外国人の買いが上昇を牽引していると推定されます。

(1)日経平均は、今週も上昇が続くと予想される

(出所)楽天証券経済研究所が作成

日経平均は、1-5月に上値をおさえていた抵抗線を完全に抜けて、上昇しました。次に意識される上値抵抗線は、16,000円です。昨年5月および12月に16,000円前後まで上昇した後、日経平均は急落しているので、16,000円が近づけば戻り売りが増えると考えられます。

ただし、先週末の日経平均はまだ15,349円、まだ16,000円を意識すべき段階ではありません。良好な投資環境の中で、今週も上昇が続くと予想します。

(2)誰が日本株を買っているか?

<日本株の主体別売買動向>

単位:億円

(出所)東京証券取引所

日経平均の上昇が続いた5月19日~6月13日の売買動向を表すのが上の表です。買っているのは、信託銀行と外国人で、売っているのは個人投資家と、総括することができます。

信託銀行(信託勘定)の買いは、公的年金と推定されます。公的年金が買っていると推定する根拠については、6月11日のレポート「誰が日本株を買っているか」を参照ください。

証券自己が買い越しになっていますが、これは、裁定買い残の積み増しと考えられます。外国人投資家が日経平均の先物を買い、先物が割高になったところで、証券会社が<先物売り・株式現物買い>のポジションを組んだものと考えます。これが、裁定買いです。詳しくは、別の機会に説明します。

個人投資家が、1兆1,307憶円もの売り越しになっています。個人は利益確定に動いていますが、売り越し金額は、実態より大きく出ている可能性があります。三井不動産などの公募増資を個人投資家が引き受けた後、売却した場合、増資の引き受けは買いにカウントされず、増資玉を市場で売却した分だけ、売りだけがカウントされるからです。

事業法人は1,157億円の買い越しです。自社株買いの増加によって、事業法人は安定的に買い越す傾向が続いています。金融法人は、▲690億円の売り越しです。保ち合い解消売りが今でも続いています。

なお、6月16-20日の売買動向は、まだわかりません(6月26日に東証から発表される予定)が、売り買いの主体は変わらないと推定されます。

(3)日本株の主な強弱材料

<強材料>

  • アベノミクス「新成長戦略」への期待が復活(外国人から見て)
    法人減税の実現、規制緩和特区の活用などが注目されています。
  • 消費増税後の国内景気が想定より堅調
  • アメリカの景気が好調
  • アメリカの早期利上げへの警戒感が薄れた、などです。

アメリカは、金融緩和を縮小しつつあります。今のペースで緩和の縮小を続けると、最短で10月に金融緩和が終了します。その後、いつ引き締めがあるかが議論に上っています。ただし、アメリカの金融政策を決定するFRBのイエレン議長がハト派(早期引き締めに否定的)コメントを繰り返しているので、市場は、緩和的状況が相当長く続くと期待しています。そのため、米景気好調にもかかわらず、米長期金利は上昇しにくくなっています。

<米長期金利(10年国債利回り)の推移>

(出所)楽天証券経済研究所が作成

<弱材料>

  • イラクで、反政府勢力の占領地域が拡大
  • アルゼンチンに再び信用不安が蒸し返す
  • 中国景気の先行きに不安が残る