先週の国内株市場を振り返ると、日経平均はもみ合いながらも概ね堅調な推移となりました。下の図1を見ても判りますが、週を通じて5日移動平均線を挟んだ値動きが続き、週末5月26日(金)の日経平均終値は19,686円でした。前週末(5月19日の19,590円)からは96円ほどの上昇です。

(図1)日経平均(日足)の動き (2017年5月26日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

チャート全体の形をざっくり眺めてみますと、前回は「アイランド・リバーサルの形を打ち消すことができるかどうかが焦点のひとつになる」旨を指摘しました。打ち消すとは、具体的にアイランド・リバーサル形成時に出現した「窓」を埋めることなのですが、先週の値動きはまさに窓埋めの格好になっていますので、不安材料がひとつ後退したと言えます。

さらに、ローソク足の並びを見ましても、下値が切り上がっているほか、25日移動平均線も右肩上がりが続いています。5月26日(金)の取引終了時点では19,468円です。直近の25日移動平均の高値(3月17日の19,394円)も上抜けてきました。そのため、短期的なチャートの形は良くなっていると言えます。

その一方で、相変わらず、様子見や膠着感を感じさせるものも根強く残っています。例えば、日経平均は前週末比で約96円上昇したことを冒頭で触れましたが、週初(5月22日)の始値が16,670円でしたので、週足での上昇幅は16円とほぼ横ばいです。ローソク足の形も、十字線や陰線が目立ち、迷いや買い騰がる勢いに乏しいムードが感じられます。

下の図2は日経平均のATRです。ATR(Average True Range / アベレージ・トゥルー・レンジ)といって、値動きの大きさの推移を表しています。

ATRのポイントは「トゥルー・レンジ(真の値幅)」の求め方にあります。一般的な値幅は単純に高値と安値の差になりますが、トゥルー・レンジでは「窓」が発生した場合も考慮して値幅を決めます。①当日高値-当日安値、②当日高値-前日終値、③前日終値-当日安値のうち、値が最大のものを採用して計算します。

(図2)日経平均(日足)とATR (2017年5月26日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

ATRは、株価の上昇(下落)に伴ってATRも上昇していれば、そのトレンドが力強いと判断するといった使い方をします。足元のATRを見るとかなりの低水準であることがわかります。

今週は、週末に米雇用統計を中心に、米国の経済指標が相次いで発表される予定となっており、次回FOMCでの利上げ観測を確認する様子見がメインシナリオになりそうですので、日経平均の値動きも引続きもみ合いが想定されます。ただし、来週末(6月9日)がメジャーSQですので、思わぬ相場の「ふらつき」には注意が必要です。

水準としては、日経225指数先物オプション取引で売買の多い、権利行使価格2万円、19,750円、19,500円が意識されやすいと思われます。