このレポートの要旨

  • [直近のマーケット] 原油大幅続落。安全資産と目された貴金属・ドルはやや反発
  • [値位置]は、金は反発、白金・とうもろこしは横ばい、ガソリンは55,000円割れ
  • [トピックス] ガソリン:小売・先物ともに冬場から夏の需要期にかけて上昇する傾向!?

[直近のマーケット] 原油大幅続落。安全資産と目された貴金属・ドルはやや反発

図1 2014年12月30日(火)始値と1月7日(水)終値の騰落率

出所:筆者作成

上記のグラフは、2014年12月30日(火)の始値と2015年1月7日(水)の終値を比較した騰落率のランキングである。

コモディティ(商品)を中心に、株価指数・通貨の全体の1週間のおおよその値動きの流れを知ることができる。

値動きのポイントは以下のとおり。

  • 貴金属:原油安を背景とした世界的な混迷を背景に安全資産と目された金を中心に貴金属が小幅に上昇。ただ、貴金属もリスク資産と見る向きも根強く、上昇は小幅にとどまった。
  • 石油:大幅続落。ロシアの原油増産のニュースなどを背景にさらに下げ幅を拡大。NY原油は一時50ドルを割る場面も見られている。
  • 穀物:穀物相場の牽引役と目された小麦ば年末より弱含んでいることなどを背景に国内外のとうもろこしが下落。大豆はほぼ横ばいとなった。
  • 株・通貨:原油の大幅続落による世界的な混迷を背景に、株価は国内外ともに弱含む展開。一方、ドルは金などと同様に、混迷の折、安全資産と目されやや反発する展開となった。

[値位置]は、金は反発、白金・とうもろこしは横ばい、ガソリンは55,000円割れ

チャートはすべて以下の条件で掲載

限月:期先(先限)
種類:日足
移動平均線:紫「9日」・緑「26日」
出所:商品先物取引ツール「Formula(フォーミュラ)」より筆者作成

図2 東京金  (単位:円/グラム)

・昨年末の4,500円~4,600円のレンジ相場からやや上抜けた格好。
・短期・中期移動平均線はともに右上がりの形状へ。
・両移動平均線をサポートとして強含む展開となっている。

図3東京白金  (単位:円/グラム)

・4,750円が抵抗となり頭が思い展開。
・昨年12月の大幅下落からおよそ半値戻しとなった格好。
・短期・中期移動平均線はともに右上がりの形状。

図4東京ガソリン  (単位:円/キロリットル)

・60,000円を再び割れたところで下げ足を速め、12月の安値を大きく下回る。
・やや反発しかけた短期移動平均線は再び右下がりへ。
・短期・中期移動平均線はともに右下がり継続。価格の下落トレンド継続を示唆か。

図5東京とうもろこし  (単位:円/トン)

・年明け、短期移動平均線を下回り、やや弱含むも中期移動平均線のサポート上を維持。
・両移動平均線、値位置は昨年11月後半と同様の形状。
・実価格が中期移動平均線に接するまで横ばい状態が継続か。

[トピックス]ガソリン:小売・先物ともに冬場から夏の需要期にかけて上昇する傾向!?

ガソリンは、数ある投資対象の中で、最もその価格の変化を実感・体感できる商品であると考えている。

以前のレポート「コモディティ(商品)の値動きに見られる季節習性を参考にしてみる」にて、商品相場には季節習性が見られるものがあるとして、その中で夏場のガソリンについてふれさせていただいたことがある。

ガソリン価格は、地域によって差があることもあるかもしれないが、過去15ヵ年のデータのとおり、冬場から夏場にかけて、おおむね上昇する傾向があるようである。(以下の図6参照)

考えられる理由は、「夏場のドライブシーズンにむけての需要増加」である。

また、その上昇傾向は、ガソリンスタンドの「小売価格」のみならず、個人投資家の皆様がご存知の日経225先物と同様の先物取引としてのガソリン「先物価格」(赤線)も上昇する傾向があることもグラフから見て取れる。(以下の図6参照)

体積やかかっている税金・諸コストなどの違いで、先物価格は一見して小売価格と異なるように見えるが、東京ガソリン先物の価格は「レギュラーガソリン(※)」の価格であるため、ガソリンスタンドのガソリンも、商品先物取引のガソリンも、結局はガソリンの価格をあらわしているのである。

※東京商品取引所のガソリンは、「日本工業規格のK2202の2号の品質基準に適合するレギュラーガソリン」となっている。

よって、それらの「小売」「先物」の2つのガソリン価格は、冬場から夏場のドライブシーズン迎えるまで、夏場の需要期に向けた需要増加を背景に、ともに価格が上昇する傾向がある、という説明になると考えている。

図6 全国ガソリン平均価格と東京ガソリン先物価格
ガソリン小売価格(右軸)単位:1リットル/円 :石油情報センター発表のガソリン小売価格全国平均データより
ガソリン先物価格(左軸)単位:1キロリットル(1000リットル)/円 :東京商品取引所の各年の8月限のデータ

出所:筆者作成

年によっては、夏場にかけて上昇していない、小売価格と先物価格が同様の動きになっていない場合があることも確かであるが、今後のガソリン価格を予想する際には、この夏場にかけて上昇する、小売価格と先物価格が同じように動くという「傾向」は重要な参考材料になると考える。

トピックスの冒頭で申し上げたとおり、おそらくガソリンはもっとも価格の変化を体感できる商品であると考える。

このことから、街中では誰もが目にし、そしてその変化を気にかけるガソリンへの投資は、株やドルよりも、個人投資家の皆様にとってもっとも「体感できる」投資なのかもしれない。

足元の原油価格動向の不確かさの中、この傾向が見られるかどうか、特に今年は注目したいところだ。

次回以降、いずれかのタイミングで、先物と小売、これらの2つのガソリン価格の関係をもう一段掘り下げてレポートすることとしたい。

※レポート内で使用しているデータについて
特にことわりがない限り、国内商品先物銘柄は6番目の限月(期先)を、海外商品先物はその時点で取引量が最も多い限月(中心限月)のデータを採用。