【米ドル/円 バーナンキFRB議長の発言を受け一時乱高下も】

昨日までの動向

米ドル/円は2日続けての陰線引け。
東京市場では、13日の米経済指標の悪化を受けてドル安/円高となった前週末の海外市場の流れを継続し、89円台での上値の重い状態を継続しました。東京市場序盤では7-9月期の実質GDP(国内総生産)が市場予想を大幅に上回ったことでやや円買いが優勢になり、一時89.35-40まで下げる場面もありました。ただ、下げ一巡後は米ドルの買い戻しも入るなど方向感に乏しく、89円台半ばでの小幅な値動きとなりました。

NY市場に入り、米ドル/円は一時乱高下となりました。バーナンキFRB議長は16日、ニューヨークの講演で、「ドルの価値の変化に注意している」などとコメント。従来の基軸通貨としての「強いドル」発言とは異なり、ここ最近の主要通貨に対する米ドルの為替レートを示す「ドルの価値の変化」を指摘したものと市場は受け止めたもよう。このところの米ドル為替レート(米ドル安?)に対し、一歩踏み込んだ見解がなされたとの見方が広がり、一時的に米ドルが主要通貨に対して買い戻される動きが優勢となりました。米ドル/円は89.25-30レベルから一時89.50-55レベルまで急伸する動きとなりました。ただ、同時に「金利を長期間異例に低水準とすることが正当化される状況続く公算」と従来の認識を示したこともあり、ドル買い一巡後は上値の重い展開となりました。

その後は、米10月小売売上高が市場予想を上回る好結果となったことや、バーナンキFRB議長が慎重な経済見通しを示し超低金利政策継続を改めて示したことなどから安心感が広がりNYダウ平均株価が上げ幅を拡大。リスク選好姿勢から安全資産のドルを売り、高金利通貨を買うドル・キャリートレードの動きが強まり、米ドルは対円でも下落。米ドル/円は89円台を割り込むと、一時88.70-75レベルにまで下げる動きとなりました。

本日の展望

目均衡表の雲の下限の上抜けが失敗となり、米ドル/円は下げ幅を広げ、直近サポートとして寄与している11月2日の安値89.15-20レベルを下回る展開となりました。雲の下限で完全に上値を抑えられた場合、同水準が強力な上値抵抗線となり、90円台前半をピークに再び88円台から87円台方向への下値トライが意識される局面です。次の下値目途として10月14日の安値88.80-85レベルがあげられます。同レベルを下抜けた場合、主だったサポートは見当たらず直近では10月7日の安値88.013円を下値ターゲットとして捉えることとなりそうです。一方、上値では昨日割り込んだ11月2日の安値89.15-20レベルをしっかりと回復できるかが焦点となりそうです。本日一目均衡表の下限は89.85-90レベルに位置しています。目先、雲の下限は89.70-75レベルにまで下げた後、緩やかな上昇に転じています。

本日の主な指標

東京時間22:30:(米)生産者物価指数-10月 予想0.5% 前回-0.6%
東京時間23:15:(米)鉱工業生産-10月 予想0.4% 前回0.7%
東京時間23:15:(米)設備稼働率-10月 予想70.8% 前回70.5%
東京時間27:00:(米)NAHB住宅市場指数-11月 予想19 前回18

参考 一目均衡表の見方については下記をご参照ください。
楽天FXビギナーズガイド

当レポート掲載時間:当日13時頃~翌日正午12時頃まで、当日最新版は13時頃に更新いたします。

【豪ドル/円 商品価格の上昇が下支えに】

昨日までの動向

東京市場では、豪ドル/円はおおむね堅調に推移。先週末の米国株の上昇や週末のアジア太平洋経済協力会議(APEC)において、持続的な景気回復まで景気刺激策を維持するとの首脳宣言採択などが好感され豪州株が急伸。
豪ドル/円は日本の実質GDPが市場予想を大幅に上回ったことで一時円買い優勢となり一時83円台前半レベルに急落する場面も見られたものの、下げ一巡後は急激に値を戻しその後は、83円台なかばから後半レベルでの値動きとなりました。

欧州市場序盤では豪ドル/円はやや軟調に推移。
アルムニア欧州委員は「人民元/ドルの為替レートを再考するとの中国の発言に留意」などと発言。欧州高官からも人民元切り上げへの期待が示されたことで米ドルの対人民元先安感からアジア通貨である円が一時買われる動きとなりました。

NY市場に入り豪ドル/円は上値の重い展開に。
対米ドルで円買いが優勢となったことを受け、豪ドル/円も上値の重い値動きとなりました。ただ、米ドル安などを背景にNY金先物価格が一時1,140米ドルを上回る大幅続伸となり、史上最高値を更新。NY原油先物価格も大幅上昇となるなど商品価格の上昇が豪ドルの下支えとして寄与したもよう。豪ドルは、海外市場での荒い値動きの中、対米ドルで昨年8月上旬以来の高値となる0.9400台まで上昇。豪ドル/円も83円台前半レベルでは下げ止まり、再び83円台なかばレベルまで切り返す動きとなりました。

本日の展望

直近上値では84円台が抵抗線として寄与しおり、豪ドル/円の上値を阻み続けているもよう。直近では83円台~84円台と高値圏で約1円のレンジでもみ合う動きを継続しています。今後、上昇トレンドを継続するにあたり、まずは84円台を上抜け、定着するかが焦点となりそうです。

一方、一目均衡表では目先、「変化日」を示唆する雲のネジレに近付いてきています。なお、11月2日価格がこの雲のネジレを通過した際には79.40-45レベルにまで急落する動きが観測されました。目先、豪ドルの買われ過ぎ調整を示唆するような雲のネジレが観測されたことから、現段階からの高値売り抜けのタイミングが意識されやすいもよう。直近の抵抗線84.00-05レベルで上値を阻まれ続けた場合、一旦は価格調整を伴う豪ドルの戻り売りも入りやすい局面にあるようです。豪ドル/円の価格は一目均衡表の雲が位置するレベルから大きく乖離する動きとなっており、今後この乖離を埋めに行くもう一段の調整的な豪ドル反落リスクにも注意を払いたいところです。

本日の主な指標

東京時間09:30 RBA(豪準備銀)政策会合議事録

参考 一目均衡表の見方については下記をご参照ください。
楽天FXビギナーズガイド

当レポート掲載時間:当日13時頃~翌日正午12時頃まで、当日最新版は13時頃に更新いたします。