上方修正をどんどん考えるやり方

「私には老後資金がもっと必要だ」と思う人はどんどん上方修正を考えていくことが必要です。

ざっくり考えて、毎月1万円多く老後に取り崩したいのであれば、年12万円×25年として300万円の資金がいるということになります。世の中の平均より、毎月5万円多く暮らしたいのであれば、1,500万円追加、というイメージです。先のモデルに追加するなら目標は4500万円、ということになります。

老後の自己負担増や年金減額を厳しく予想するならその分数百万円単位の増額をイメージしてみます。
あるいはインフレが動き出したときは、実際の資産の増え方がインフレ以上であることをしっかりウォッチしながら準備目標もインフレに合わせて増額しておく必要があります。3,000万円の目標は10%のインフレ後は3,300万円にしなければならないわけです。

老後の準備額については、個人的要素をどんどん加味していいので、「我が家の目標」をデザインしていきましょう。

危機感と現実的感覚のバランス感が老後資金準備には必要

とはいえ、老後の目標を「今の生活水準」とイコールにする必要はありません。
定年退職後の出費からは「厚生年金保険料」「住宅ローン返済額」「子の教育費」などがすっぽりと抜けるからです。家庭にもよりますが、毎月の生活費ががくんと下がることは間違いありません。毎月10万円以上下がる人も少なくないでしょう。

ただし、公的年金の水準は夫婦が満額もらっても平均で23万円程度ですから、やはり老後のお金は不足する傾向にあります(これについては、ねんきん定期便などで自分の金額を確認すること。公的年金水準の個人差も大きい)。

一方で、老後資金準備のために、現役生活が成り立たないというのもおかしな話です。老後資金準備の設定は危機感をもって設定をしておくことをおすすめしますが、手取り30万円の中から15万円以上貯めよう、というような計画は非現実的です。

老後資金準備が足りなかったら、そのときある資産と年金収入とでやりくりをすればいいだけの話なので、あまり悲観的になる必要はありません。望んだ生活水準に足らないとしても、いきなり生活が困窮することはないのです(生活の基礎コストをまかなう公的年金をもらえることが大きい)。

がんばればがんばっただけ、老後のゆとりが作れる、と考えて老後資金準備に励んでいくといいでしょう。
無理のない範囲を老後資金準備に回し、運用の力も借りて準備目標を実現していけばいいのです。そのあたりは次回以降また触れていきたいと思います。