株価調整局面は押し目買いのチャンス

1月から大きく上昇を続けてきた日本株ですが、ここへ来てさすがに息切れ感が出てきています。日経平均株価も3月27日につけた10,255円15銭の高値から、4月9日には9,535円33銭まで下落し、約2カ月半ぶりに25日移動平均線を下回ってきています。

この株価下落を、長期的な株価下落基調の一時的な反発が終了して再び安値に向かうと考えるのか、それとも長期的な株価が上昇基調に転換する兆しを見せている中の一時的な株価調整局面に過ぎないと考えるのかで投資戦略も異なってきますが、ここでは足元の株価下落が中長期の上昇トレンドの中の一時的な調整であることを前提に、筆者が考える戦略を述べていきたいと思います。

仮にこの株価下落が一時的な調整であるとするならば、欲しい銘柄を押し目買いで安く手に入れる格好のチャンスとなります。押し目買いとは、上昇途中の一時的な株価調整局面で買うことをいいます。

日経平均株価の現時点のトレンドは?

おさらいですが、「移動平均線が上向き+株価が移動平均線の上」の状態にあれば株価は上昇トレンド、逆に「移動平均線が下向き+株価が移動平均線の下」の状態にあれば株価は下降トレンドにあると判断できます。

先週末(4月6日)時点での日経平均株価のトレンドを確認すると、日足チャートでは25日移動平均線自体は横ばいからやや下落気味、株価も25日移動平均線を明確に割り込んでしまっており、短期的な上昇トレンドが一旦終了した可能性が高くなっています。

一方、週足チャートでは13週移動平均線自体が上向きで、株価も13週移動平均線の上に位置しており、上昇トレンドが継続していると判断できます。

つまり日経平均株価は中期的には上昇トレンド継続、短期的には上昇トレンドが一旦終了している状態です。

押し目買いのタイミングは2つ

日経平均株価のトレンドは上記のとおりですが、個別銘柄のトレンドは銘柄によりバラバラです。押し目買いの対象となるのはあくまでも「上昇トレンドにある銘柄」のみです。「押し目」とは、株価上昇途中の一時的な調整局面のことを指しますから、株価が上昇トレンドにない銘柄を、株価下落途中で安易に買わないように気をつけてください。

押し目買いのタイミングとしては2つあります。
1つめは日足チャートが上昇トレンドにある場合で、上向きの25日移動平均線より上にある株価が下落して、25日移動平均線に近づいてきたところを見計らって買うものです。
2つめは、これは日足チャートが上昇トレンドにないものの週足チャートが上昇トレンドの場合です。上向きの13週移動平均線より上にある株価が下落し、13週移動平均線に近づいてきたところを買います。

損切りは、筆者であれば、株価が移動平均線を明確に割り込んだ時点(1つめなら25日移動平均線、2つめなら13週移動平均線)もしくは直近安値を下回った時点で実行するようにします。

本当は週足チャートが上昇トレンドでも日足チャートが上昇トレンドにない場合は、日足チャートが上昇トレンドに復帰したのを待って買いに入るのが理想なのですが、週足チャートが上昇トレンドである限りは、損切りをしっかり行うという前提ならば日足チャートのトレンドは無視してしまってもよいでしょう。

下降トレンドでも好業績なら飛び乗りも一策

また、これからは3月決算企業の前期本決算や当期業績予想の発表が本格化してきます。そこで各企業の業績を確認したうえで、投資する銘柄を改めてピックアップするのもよいでしょう。日本経済新聞の業績欄や各企業のホームページなどを逐次チェックし、以前から目をつけていた銘柄、気になる銘柄の業績発表には目を配っておくようにしましょう。

例え下降トレンドにある銘柄でも、好業績であることが決算発表により明らかになって株価が反発したならば、反発前の直近安値を損切り価格に設定するなどして、飛び乗り買いをするのも一策です。

ちなみに、決算発表のピークになると1日に100社以上の企業が決算発表を行うため、投資家も各企業の業績チェックがおぼつかなくなります。すると、どうみても前期の決算や当期の業績予想がよいのに、発表翌日の寄り付きの株価はほとんど反応しないことがあります。「どう考えても株価が上がるはずなのにおかしいな」と思っていると、寄り付き直後から急上昇したり、翌日になってから大きく値上がりするようなことを筆者も経験したことがあります。好業績銘柄を安く買える思わぬチャンスがあるのも決算発表シーズンの楽しみの1つです。

株価が大きく下落すると、自身の持ち株の株価が下がってしまうため良い気分ではありませんが、新たに買うという観点からすれば欲しい株を安く買えるまたとない機会になります。

特に今回の株価上昇に乗り遅れてしまった個人投資家にとっては、ぜひこのチャンスを生かして良い買い物をしたいものですね。