不動産を投資対象とした投資信託があること、ご存知ですか?

皆さんは、「REIT(リート)」という投資商品をご存知でしょうか? REITとは、「Real Estate Investment Trust」の略で、日本語では「不動産投資信託」を意味します。投資信託にも株式に投資するもの、債券に投資するものなど色々な種類がありますが、REITは不動産を投資対象とした投資信託のことです。

不動産を保有してそれを賃貸して毎年安定的な収入を得る、これは投資家として非常に魅力的なことですが、不動産を購入するためにはかなりの額の資金が必要であり、大多数の個人投資家にとっては現実的な話ではありません。

しかし、そんな非現実的な話を現実にしたのがこの「REIT」です。REITは、不動産を小口の単位に分けて保有できるようにしたもの、とお考えください。投資家は少額の資金でREITを購入することができ、REITが有する不動産の賃貸収入を分配金として得ることができます。

そしてREITの良いところは、少額の資金で投資できるだけでなく、REIT自体が多数の不動産を保有することにより「分散投資」の効果を享受できる点にあります。

ご自身でやっとのことマンションの1室を購入し、それを賃貸に出したことを考えてみてください。借主が住み続け、毎月安定的に家賃収入があればよいですが、借主が見つからず空室が続いてしまえば、家賃は全く入ってきません。これではリスクが高すぎますね。

しかしREITでは多数の不動産を保有していますから、そのうちの一部が空室になったりしてもほとんど影響がないようになっています。これにより、REITは比較的安定した分配金を出すことができるのです。

利回りがREITの大きな魅力

REITの魅力の1つは、「利回り」にあります。足元のREITの価格は上昇しているとはいえ、それでも先週末時点(3月23日)で、年間当たりの分配金利回りは概ね4%から7%ですから、十分に高利回りといえます。

もちろん、これだけの分配金利回りとなっているのは理由があります。REITの分配金は、REITが保有する物件の賃料収入がもとになっています。しかし賃料は不動産市況により上下しますし、空室率が上昇すれば賃料の総額自体が少なくなってしまいます。またREITが借り入れをしている場合、金利上昇により利息負担が増加して利益減少の要因となり、分配金が減ってしまう可能性もあります。こうしたリスクが反映された結果、高い分配金利回りとなっているのです。

したがって、それぞれのREITごとの過去の分配金の実績をみて、分配金が安定しているところを選んで投資するようにするとよいでしょう。また、複数のREITに資金を分散して投資することも有効です。

REITの取り扱いは個別株と基本的に同じ

REITを売買するために専用の口座を設ける必要はありません。通常の証券総合口座(個別株を売買する際に使う口座)で売買できます。売買注文の方法も個別株と同じで、指値注文と成行注文ができます。また、信用取引も可能です。

税金の扱いも上場株式と同じです。売却益、分配金いずれも10%(所得税7%、住民税3%)の税率です。ただし配当控除の適用はありませんので注意が必要です。

REITの売買単位は1株単位ですが、銘柄によって価格が大きく異なっています。10万円以下で購入できる銘柄もある一方、70万円以上出さないと購入できないものもあります。

売買のタイミングも個別株と同様に考えてOK

REITは分配金を受け取るために長く持ち続けてもよいですし、価格が大きく値上がりしたならば売却して利益を確定することもできます。

個別株では塩漬けによりにっちもさっちも行かなくなってしまうことが良くありますが、REITであれば購入価格より大きく値下がりしたとしても、毎年それなりの分配金を受け取ることができますから個別株ほど痛手は大きくならないでしょう。

とは言っても、やはり売買のタイミングをつかみ、できるだけベストに近いタイミングで買うことを心がけたいものです。売買のタイミングの見極め方は個別株式と同じと考えてOKです。つまり、購入は上昇トレンドのときに行い、下降トレンドの間は新規購入をできるだけ控えます。ただ、価格が大きく値下がりし、利回りが大きく上昇したなら下降トレンドの途中であっても多少のリスク覚悟で買ってしまうのも一策です。

ちなみに、3月23日時点のチャートを見ると、週足ベースでの上昇トレンドが続いていますので、思い切って現時点で飛び乗ってしまう、もしくは押し目を待ってできるだけ安く買う、という戦略となるでしょう。

なお、個別株の場合は下降トレンドになったら持ち株を売却するのが望ましいのですが、REITは長期間保有して分配金を受け取ることが大きな目的の1つですから、無理に売却する必要はありません。ただし、買値から2倍、3倍にも上昇したならば、売却も検討すべきです。例えば購入時に分配金利回り5%だったREITの価格が3倍になれば、40年分の分配金に相当する売却益を得ることができます。筆者なら、40年分の分配金を先取りできるならば売却すると思います。

次回は、REITへの投資のリスクを軽減するための分散投資の考え方と、少額でもREITに分散投資することができるETFについてご紹介します。

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