日経平均株価の力強い上昇をよそにネット関連銘柄は蚊帳の外

先週末(3月9日)には日経平均株価が約7カ月ぶりに10,000円の大台を回復するなど、日本株の力強い動きは続いています。

では個別銘柄はどうかといえば、日経平均株価同様強い動きで年初来高値を更新し続ける銘柄もあれば、日経平均株価がこれほど上昇しているにもかかわらず逆に軟調な値動きの銘柄も少なくありません。

主要な株価指数でみると、日経平均株価やTOPIX、東証2部指数、そしてジャスダック指数は非常に強い動きである一方、マザーズ指数の弱さが非常に目立ちます。

ジャスダック指数とマザーズ指数は、共に新興市場銘柄の値動きを表しているものですが、ネット関連銘柄の多い東証マザーズと、ネット関連でない内需銘柄の多いジャスダックとで値動きの差が顕著に出ています。

今年に入ってからの上昇相場では、ネット関連銘柄は完全に蚊帳の外に置かれていることが分かります。

日経225 日足

ジャスダック指数 日足

東証マザーズ指数 日足

上昇相場初期は「種まき」からスタート

上昇相場では、上昇の中心となる業種・銘柄が存在するケースがあります。その場合、テーマから外れた銘柄は、日経平均株価がいくら上昇しようとほとんど上昇しない、ひどいときには下がり続けることも珍しくありません。

典型例は2000年前後のITバブル相場で、このときはソフトバンクや光通信をはじめIT関連企業の株価は驚くほどに上昇した一方、それ以外の銘柄は泣かず飛ばずでした。

もちろん、全体的な上昇相場となる場合もあり、そうなればどの銘柄を持っていても報われることになるのですが、上昇相場の初期段階ではこの上昇相場が全体的なものなのか、一部の銘柄に限定されてしまうのかはまだ見えてきません。

したがって、筆者であればたとえば日経平均株価や個別銘柄が日足チャートで上昇トレンドに転換したばかり(株価が25日移動平均線の上+25日移動平均線が上向きとなった直後)、という段階で、どの銘柄が大きく上昇してもよいように、少量ずつできるだけ多くの銘柄に買いを入れる「種まき」を行います。「打診買い」の一種ととらえていただいても構いません。

上昇相場中盤で「絞り込み」を実施

そして、上昇が1~2カ月程度続き、現在のように日経平均株価のみならず多くの銘柄が週足チャートでも明確な上昇トレンドに移行した上昇相場中盤の時点で、種まきをした銘柄の絞り込みを行うのです。

例えば、週足(中期)と日足(短期)のトレンド別で以下のような戦略を立てます。

週足・日足とも上昇トレンド
持ち株は保有。今後の押し目で追加買いも一考。
週足は上昇トレンドだが日足は下降トレンド
持ち株は基本的には保有だが念のため一部売却も。週足上昇トレンド崩れないまま日足が再び上昇トレンド復帰したら買い直し・追加買いを検討。
週足は下降トレンドだが日足は上昇トレンド
日足が上昇トレンドにある限りは保有してよいが、積極的な買いは週足が上昇トレンドに転換した後とする。
週足・日足とも下降トレンド
持ち株は売却。買い直しは日足が上昇トレンドに転換してから。

絞り込みで生じる資金を有効活用

この作業を行うと、株価のトレンドがより強い銘柄のみを残すことができます。仮に今回の上昇のテーマに合致した銘柄ならば、当然株価トレンドは強いはずですから、そうした「お宝銘柄」を上昇相場の初期段階で早々と売ってしまうことは避けられます。その一方、株価のトレンドが弱い銘柄は売却することになりますから、日経平均株価が上昇を続けても持ち株は下落の一方……といったストレスを抱えずに済みます。

そして、株価のトレンドが弱い銘柄を売却することによって多少の資金が生まれます。これをうまく活用していくことを考えましょう。

トレンドが弱いため一旦売却してしまった銘柄が遅ればせながら上昇トレンドに転換したのを確認できた段階で買い直してもよいですし、株価のトレンドが強い銘柄の押し目買いに資金を使うのもよいでしょう。

筆者は、「種まき」をした銘柄のうち強い値動きをしているもの(こうした銘柄は必然的に買値より株価が大幅に上昇しています)を今後来るであろう調整局面で生じる押し目を狙って追加買いしようと思っています。

個人投資家が投資できる資金は限られています。その資金をできるだけ効率的に活用するためには、下降トレンドにある銘柄を持ち続けて上昇を待っているのではあまりに非効率です。ITバブル相場のように、一握りの銘柄だけが上昇する上昇相場となってしまえばなおさらです。

上昇トレンドにある銘柄に資金をある程度集中させて、より高い投資パフォーマンスを目指すことを心がけましょう。