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IR資料を活用して投資戦略に役立てよう-公開買付け(その2)
足立 武志
知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識
株式投資がうまくいかない、という個人投資家の皆様へ。実践をベースにした「すぐに役立つ真の基礎知識」は、お客様の株式投資戦略に新たなヒントを提供。負けない、失敗しないためにはどのよ…

IR資料を活用して投資戦略に役立てよう-公開買付け(その2)

2011/12/22
資産運用に精通した公認会計士として活躍している、足立武志氏による「知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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今回は、前回の続きとして、買おうとしている株や持ち株につき公開買付けが実施される場合の投資戦略や注意点についてです。今回も一部前回と同じ資料を使ってご説明します。

資料(2):平和(6412)IR資料(現在は掲載を終了しております)

資料(3):三井住友フィナンシャルグループ(8316)IR資料(現在は掲載を終了しております)

買おうとしている株につき公開買付けが実施されることになった場合は?

もし、これから買おうとしていた銘柄が公開買付けの対象となっていることが判明した場合、プロミス株のように完全子会社化目的(最終的に上場廃止となる)のパターンであれば、今から新規に買っても意味がないため投資対象から外すことになります。PGMホールディングス株のように上場が維持されるパターンであれば買ってもよいですが、できれば公開買付け期間後の株価の動きをしばらくウォッチし、株価が上昇トレンドにあることを確認できた段階で買った方がリスクは少ないと思います。

なお、上場が維持されるパターンで、公開買付けの上限株数が設定されている場合は、公開買付け期間終了後、応募に漏れた株式を市場でできるだけ高く売ろうとする動きから売り需要が増加し、株価が大きく下がる可能性が高いため注意が必要です。

例えば、以前のコラムにて、公開買付け期間終了後にフルスピード株の株価が大きく下落したことをご紹介していますが、買付け者フリービットのIR資料「株式会社フルスピードとの資本業務提携及び同社株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ(平成22年6月28日)」の1ページ「1.買付け等の目的等(1)本公開買付けの概要」をみると、72,204株が買い付け株数の上限として設定されており、これが株価下落の一因と想定されます。

また、応募株数が買付け予定株数の下限に達しないなどの理由で公開買付け自体が成立しないリスクもあります。この場合も公開買付け期間が終了した後は売り需要が増えて株価が軟調となることが予想されます。それまでの大株主が公開買付けに申し込む確約があれば不成立の恐れがなくなる場合もあるので、IR資料にて確認するようにしましょう。

例えばPGMホールディングスのケースでは、資料(2)の4ページ「(4)公開買付者と対象者の株主との間における本公開買付けへの応募に関する合意」に記載の通り、PGMホールディングスの筆頭株主が公開買付けに応募を表明しており、その株数が買付予定株数の下限を上回っていることから、公開買付け自体が成立しないリスクはないものと考えられます。

持ち株につき公開買付けが実施される場合の戦略

持ち株につき公開買付けが実施されることになった場合はどうすればよいでしょうか。

まず、上場が維持されるパターンであれば、買付け価格が買値より十分に高いなど、売却してもよいと感じるならば公開買付けに応募してもよいでしょう。上で説明したように、公開買付け期間が終了すると、株価が大きく下がってしまうケースもある点には注意しましょう。基本的には、通常の株式と同様、公開買付け期間終了後の株価の動きが上昇トレンドなら保有、下降トレンドで売却というスタンスでよいと思います。

完全子会社化目的のパターンであれば、公開買付けに応募しなければ、最終的に親会社の株式や金銭に半強制的に交換させられることになります。

プロミス株の場合は、資料(3)13ページ「(3)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付けに応じなかったプロミス株主の株式は、株式交換により三井住友フィナンシャルグループ株式に交換され、プロミスの株主ではなくなります。保有するプロミス株式を金銭に変えたいならば公開買付けに応募し、三井住友フィナンシャルグループ株として保有したいのなら応募しなければよいのです。

また、同じく完全子会社化目的の公開買付けが行われるマスプロ電工(6749)のIR資料(資料(4))(現在は掲載を終了しております)の11ページ「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項について)」をみると、公開買付けに応じなかったマスプロ電工株主の持つ普通株式は全てマスプロ電工に強制的に買い取られ、対価として金銭を得るということが読み取れます。つまり、マスプロ電工のケースでは公開買付けに応募してもしなくとも保有するマスプロ電工株は金銭になります。

「全部取得条項」ってなんだ?

ところで、上記マスプロ電工のIR資料(資料(4))11ページ「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項について)」8行目をみると、「全部取得条項」という言葉があります。この言葉の意味をぜひ知っておいてください。

全部取得条項とは、会社法施行により新たに設けられたもので、大雑把にいえば、この仕組みを使うと大株主以外の株主(小口の株主)が保有する株式を強制的に回収(もちろん金銭等の対価を払った上で)することができてしまいます。

マスプロ電工の場合、普通株式を全部取得条項付株式に変更し、その全部を会社が買い取ってしまいます。買い取りの対価として別の種類の株式(「A種種類株式」)を発行しますが、それを筆頭株主に1株だけ行き渡るような比率で発行するようにします。すると、筆頭株主より持ち株数の少ないその他の株主は必然的に1株未満の端株しか受け取れなくなるため、筆頭株主しかマスプロ電工株の議決権を持つことができなくなります。

マスプロ電工の公開買付けに応募しなかった場合、残った株主の持っている株は強制的に1株未満の「A種種類株式」端株に変わり、その端株は会社または筆頭株主が金銭で買い取るため、最終的にマスプロ電工の株主は持ち株に応じた金銭を受け取って株主としての地位を失うことになります。

個人的には結構強引な手法とも感じますが、現に法律で認められているものであり、すでに多くの会社で実施されているのも事実です。

IR資料を読み解くという難しい内容だったかもしれませんが、こうしたことを知っているかどうかで、投資成果に間違いなく差がつきます。よく分からない部分は何度も読み返してみてください。

2011年のコラムは今回で最後です。どうぞよいお年をお過ごしください。2012年もよろしくお願いいたします。

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