もう1つ、アドバンテスト(6857)の週足チャートです。
3月の震災直後の急落により1179円の年初来安値をつけたあと反発したものの、8月9日にはそれを割り込み1,126円まで下落、年初来安値を更新してしまいました。
年初来安値更新となれば、下降トレンド継続を意味するため、さらなる下落による損失拡大を防ぐためには速やかに損切りが必要となります。アドバンテストは年初来安値更新後も下げ続け、結局10月4日の751円まで大きく下落してしまいました。

年初来安値更新は損切りを含め重要な売りタイミングとなります。損切りを躊躇しているとさらに株価が下がってしまいますから素早い対応が求められます。保有株が年初来安値を更新したかどうかはできれば毎日チェックすることをお勧めします。

年初来高値・安値の銘柄数から相場の基調を探る

次に、年初来高値銘柄数・年初来安値銘柄数とその推移をチェックしましょう。これにより、株式市場全体の基調を把握することができます。

一般的に、年初来高値銘柄数が増加傾向で年初来安値銘柄数より多ければ相場は強いので強気、逆に年初来安値銘柄数が増加傾向で年初来高値銘柄数より多ければ相場は弱いので弱気、という判断となります。

そして年初来高値銘柄がピークを迎えると日経平均株価や個別銘柄の多くも一旦の天井をつけ、逆に年初来安値銘柄がピークをつけると株価も底打ちすることが多くなります。

例えば、2009年の6月12日に年初来高値銘柄数が290に達してピークを付けましたが、日経平均株価もこの日に一旦の高値10,135円82銭をつけました。同様に、2010年4月5日には年初来高値が394銘柄に達しましたが、同日に日経平均株価も11,339円30銭の高値をつけています。

また、3月の大地震後の3月15日、東証1部の年初来安値更新銘柄は1,048銘柄にまで達してピークをつけましましたが、株価もこの日つけた8,227円63銭を底に反発をしました。

年初来高値・安値共存時は二極化相場の可能性

少し判断に迷うのは、年初来高値銘柄数、年初来安値銘柄数ともにそれなりに存在するケースです。

2009年6月12日に年初来高値銘柄数および日経平均株価がピークをつけたときは、年初来高値銘柄数が4月以降徐々に増加して最終的に290銘柄になった一方、その間年初来安値銘柄数はゼロに近い数字でした。2010年4月5日のピークの際も同様です。

また、2008年10月の世界同時株安の際も、年初来安値銘柄数が8月頃から急速に増加した一方、年初来高値銘柄数は非常に少なく推移していました。

このように、日経平均株価が上昇している時は年初来高値銘柄増加、年初来安値銘柄僅少、日経平均株価が下落している時は年初来安値銘柄増加、年初来高値銘柄僅少という状態になるのが一般的です。

しかし、今年の8月以降は、9月26日に185銘柄の年初来安値銘柄が出現したかと思えば、3日後の9月29日には74銘柄の年初来高値銘柄が出たように、年初来高値銘柄も年初来安値銘柄もそこそこ存在する状況が続いています。

こんなときは、年初来高値銘柄と年初来安値銘柄にはどのようなものがあるか、確かめてみることをお勧めします。

年初来高値を更新している銘柄をピックアップしてみると、為替相場や海外の景気に左右されにくい内需株がほとんどであることに気付きます。一方、年初来安値を更新した銘柄は、輸出が主力のいわゆる外需株です。

このことから、8月以降は、外需株は売られ続けて株価が大きく下がったものが多い反面、内需株は堅調な動きとなり、高値更新を遂げたものも少なくない、という傾向が見えてきます。

こうした動きをいち早く察知することができれば、外需株は避けて内需株から銘柄選択をする、という戦略を取り、まだ大きく上昇する前の段階で内需株を買い仕込むことができるのです。