欧州債務危機再燃! 日本は大丈夫なのか?

最近、ギリシャをはじめとして、ヨーロッパ各国の財政問題が再びクローズアップされるようになりました。様々な報道をみると「先進国の中で財政状態が最も悪い日本は果たして今後大丈夫なのか」と心配になる方も多いことでしょう。ただでさえ、以前から「日本破たん」論がまことしやかに囁かれていたところに、大震災が発生し、さらなる財政悪化が避けられないのが現状です。

となると、そもそも日本株に投資していて大丈夫なのか、と思われる個人投資家の方も多いかも知れません。実際、日本株に見切りをつけ、外国株にシフトする個人投資家も増えているようです。

もちろん、日本が破たんということになれば、日本株も大ダメージは避けられないでしょう。そこで今回は、万が一のときであっても適切な対応が取れるよう、「日本破たん」の兆候を見つけ出す方法を考えてみたいと思います。

日本破たんが近づけば「トリプル安」で日本が売られる

どのような状態を「日本破たん」と定義するのかは難しいところですが、ここでは日本国債がデフォルトに至り(元本や利息を期日通りに支払うことができなくなる)、財政的に破たんした状態を指すことにしましょう。

財政問題が取りざたされているヨーロッパ各国の金利やユーロの為替相場をみると分かるように、ある国に破たんの懸念が高まると、その国の「国債の金利上昇(=債券価格下落)」と「通貨の下落」および「株価の下落」が生じます。破たんの懸念が高まれば高まるほどその程度も大きくなります。

財政破たんをするような国の国債など怖くて買えないですし、そんな国の通貨も持ちたくありません。そして、そんな国の株式に投資するのも恐ろしくなります。

そのため、「債券安」「通貨安」「株安」の3点セットで国自体が売られるという状態が起こります。

もし、日本が財政破たんする可能性が高まれば、この「債券安」「通貨安」「株安」のトリプル安状態に陥ります。つまり、長期金利の上昇(日本国債価格の下落)、為替相場の円安、日本株の下落が同時進行することになります。

現時点では、長期金利が低い(債券価格が高い)ですし、為替も円高ですから、直ちに財政破たんする心配はないといえます。

もちろん、将来どうなるか分かりませんから、長期金利の動きと為替相場の動きは常にチェックしておき、日本破たんの予兆をいち早く感じ取ることが重要です。

多少の金利上昇や円安が進んでも株高である限り問題ない

ただ、多少長期金利が上昇したり、為替が多少円安に転じた程度では問題にならないと思います。また、ここ数年の長期国債の金利と日本株の動きをみても分かるように、金利水準自体がそれほど高くないときは、長期金利が上昇すれば株価も上昇、というように両者は連動する関係にあります。

2007年当時は為替レートが1ドル=120円、10年物長期国債の金利が約2%と現在より大幅な円安、債券安でしたが、日経平均株価は18,000円超えと現在をはるかに上回る高水準となりました。つまり、2007年は債券安、円安だったものの株高という状況でした。

財政破たんするような国の株価が上昇を続けることは考えにくいですから、長期金利が上昇しても株価も同じように上昇する限りは特段問題ないといえます。

過度に悲観してチャンスを逃すことのないようにしたい

もちろん、財政問題が一向に解決しない中、将来的に日本が財政破たんする可能性は常に頭の片隅に入れておくべきではあります。

ただ、上記のような「トリプル安」の状態が表面化して、財政破たんの兆候がみえてくるまでは、日本株への投資について過度に悲観する必要はないものと筆者は考えています。

多くの投資家が「日本はダメだ」と思っている中、日本株がこれから大きく上昇していく可能性も、決して低くないと思っています。

現に2007年当時、「ファンダメンタルから考えてさらに円安が進む」と信じて疑わなかった多くの個人投資家が外貨建の金融商品への投資に走った結果、想定外の強烈な円高に見舞われたという事実を教訓にすべきです。

「日本はダメだ」と決めつけて、せっかくのチャンスをみすみす逃すことのないようにしたいものですね。