3 LIXIL(5938・東証プライム)
2011年にトステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社が統合して誕生した国内最大手の住宅設備機器メーカーです。トイレ、洗面化粧台、浴室、キッチンなどのウォーターテクノロジー事業(LWT)、窓や玄関ドア、エクステリア製品、インテリア建材などのハウジングテクノロジー事業(LHT)を展開します。
世界150カ国以上で事業展開、ショールーム数は16市場116拠点(2023年3月末現在)にのぼります。GROHE、American Standardといった世界的ブランドも傘下に収めています。
2025年3月期上半期(4-9月期)の事業利益は105億円で前年同期比18.9%増となっています。第1四半期(4-6月期)は6.3億円で同82.9%減であったことから、第2四半期(7-9月期)は急回復となった格好です。
国内LWT事業は新商品展開などによってリフォーム向け売上高が好調に推移、同事業では海外向けも、新商品効果や構造改革効果で収益底打ちが鮮明化しています。2025年3月期通期計画は350億円で前期比51.1%増を据え置いています。国内外ともにLWT事業の収益回復持続を見込むほか、LHT事業も窓リフォームの受注増加などによって、底打ち反転を見込んでいます。
10月30日に決算発表を行っており、翌日は11.7%の株価上昇となりました。事業利益は上半期実績が105億円にとどまり、通期計画350億円の達成には依然としてハードルが高い状況であるものの、通期の市場予想は280億円程度の水準にとどまっていたことから、市場コンセンサスの切り上がりにはつながる状況となっています。
株価の長期低迷が続いていたこと、PBR(株価純資産倍率)は0.8倍程度に放置されていることから、構造改革の効果が顕在化しつつあることを見直す余地が大きいと考えられます。
4 日本M&AセンターHD(2127・東証プライム)
M&A(買収や合併)支援・事業承継の仲介におけるトップ企業となります。成約実績は4年連続でギネス世界記録に認定されているようです。全国の地方銀行の9割、信用金庫の8割、1,031の会計事務所と提携して、国内最大級のM&A情報ネットワークを構築していることが強みとなります。
コンサルタント職の人員は700名超、東南アジアを中心に海外拠点も5カ所あります。上場支援サービスなども手掛けており、国内外のプロ投資家向けの株式市場であるTPM向けへの支援会社数は累計で42社となっています。
2025年3月期上半期(4-9月期)の営業利益は59億円で前年同期比2.9%減となっています。従来計画の45億円は大きく上回る着地になっています。成約件数が伸び悩んで売上高は計画未達でしたが、1件当たりのM&A売上高が堅調に推移したほか、コストの削減なども進んだもようです。
2025年3月期通期予想は170億円、前期比5.8%増を据え置いています。先行指標となる新規売り受託件数や新規買い受託件数などは順調に拡大し、過去最高水準となっているようです。また、売り受託件数のうち大型案件数も過去最高のようです。
10月30日に決算を発表し、翌31日の株価は12.4%の上昇となりました。実績値が計画を上回る着地となったことで、過度な業績懸念が後退する形となったようです。第1四半期決算がネガティブな結果となって、その後の株価も低迷していたため、見直しの動きにつながりました。
年間配当金は特別配当金6円を含む29円計画を継続しています。配当性向60%水準以上の基本方針は継続としていることで、通期業績上振れならば、それに伴う増配も期待できることになります。過去15期間の経常利益年平均成長率は19.4%と成長性が高い銘柄でありながら、高い配当利回り水準であることは注目できるでしょう。
5 FPG(7148・東証プライム)
オペレーティング・リースを手掛けるリースファンド事業、国内・海外の不動産ファンド事業が主力事業となります。リースでは、航空機リース、コンテナリース、船舶リースなどを手掛けています。2027年4月1日より原則適用開始となる「リースに関する会計基準」においても、同社のリースファンド事業への影響は極めて軽微としています。
国内不動産ファンド事業では、300億円超の大規模案件を立て続けに組成し、2024年9月期の年間組成額は1,158億円にまで拡大しています。海外不動産ファンド事業でも、事業開始以来初めて単年度内に複数案件を組成しています。
2024年9月期の営業利益は286億円で前期比56.8%増となり、従来予想の256億円を上回りました。海運案件を主体としたリースファンド事業、国内不動産ファンド事業がけん引、それぞれ年間販売額は過去最高を大幅に更新しています。
また、2025年9月期は317億円、同10.7%増を見込んでいます。国内・海外不動産ファンド事業の販売額拡大を見込み、リースファンド事業は海運案件を主体とした収益性の高い案件を厳選して組成する方針のようです。ファンド事業の在庫確保は極めて高水準な状態にあり、業績拡大の確度は高いとみられます。
10月31日に決算を発表、翌日の株価は12.0%高となっています。決算の実績数値が上振れ着地となったほか、2025年9月期の2ケタ増益見通しなど、好決算がストレートに好感されました。加えて、2024年9月期期末配当金は従来計画の67.10円から81.55円に引き上げ、2025年9月期は前期比10.1円増の130.4円を計画とし、一段の配当利回り妙味の高まりにもつながりました。
さらに、発行済み株式数の1.2%に当たる100万株、20億円を上限とする自社株買いも発表していますが、10月16日に前回の自社株買いを終了したばかりであったため、インパクトが強まる形になったようです。