今日の為替ウォーキング
今日の一言
投資の世界では「今度は違う」というのは危険な兆候である – ジム・ロジャース
Heartbreak Hotel
日本は17年前から変わっていない
日銀は、10月31日の金融政策決定会合で米国経済の先行き不確実性や金融市場がなお不安定なことを背景に政策金利を0.25%で据え置くと決めた。しかし、追加利上げに後ろ向きということではなく、経済・物価が見通しに沿って推移していれば、金利を引き上げる方針だ。
日銀は今年3月にマイナス金利を解除し、2007年2月以来となる利上げに踏み切った。17年ぶりの金融政策の大転換である。しかし、日本経済は何か変わったのだろうか。たとえ変わったとしても、良くなったとは断言はできない。むしろ悪化しているかもしれない。日本の対GDP比債務は、2007年の約180%、2013年のアベノミクス開始時の220%よりも増えて約250%まで膨れ上がっている。
日本経済の再構築と銘打たれたアベノミクスは、経済成長を加速させ長期的な潜在成長率を引き上げることを目的に掲げ、外国からの投資を呼び込み、国内雇用を増大することで日本の財政は劇的に改善するはずだった。インフレ率2%も、高度で高速な経済成長のアウトプットという位置づけであり、それ自体が目的ではなかった。しかし、政府も日銀もアベノミクスが何だったのか都合のいいことに忘れてしまったようだ。
インフレは、黒田日銀の異次元緩和政策の成果ではない。現在のインフレはロシアのプーチン大統領が引き起こしたもので、さらに企業がマージンを上乗せして物価を高くしているのだ。日銀は、自ら作り出したものではないインフレを最大限に利用しているだけだ。
アベノミクスが理想としていたのは、日本経済が成長するなかで企業が働き手を奪い合い、「需要主導による所得増加」を実現させることだった。現実はどうかというと、物価高に追いつかせるためのいわば「供給主導による所得増加」が行われているにすぎない。2024年のベア平均は5.28%伸びたが、食料品の平均値上げ率19%には追いついていない。