強い動きを見せる米国株市場
<図2>米国の主要株価指数のパフォーマンス比較 (2024年10月16日時点)
16日(水)の取引終了で、ダウ工業株30種平均(NYダウ)とS&P500種指数が最高値を更新する動きとなったほか、ナスダック総合指数も7月につけた最高値に迫るところまで上昇しています。米国の中小型銘柄で構成されるラッセル2000も年初来高値を更新しています。
また、米国の半導体関連銘柄で構成されるSOX指数の落ち込みが気になりますが、これは、15日(火)の取引で、オランダの半導体製造装置企業のASMLの決算が手違いで1日早く発表されてしまい、しかも、その決算内容と業績見通しが良くなかったことで、半導体関連株を中心に大きく売られたことが影響しています。
ASMLの決算では、受注額の減少と売上高の見通しの引き下げがネガティブ視されましたが、同社は売上の半分が中国という特徴があるため、今後の半導体企業の決算動向次第では再び盛り返す展開も想定されます。
いずれにしても、足元の米国株の強さは、9月開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)から利下げサイクルに入ったことをはじめ、米経済の「ソフトランディング」シナリオに自信を深めつつあること、そして、先週から本格化しつつある米企業の決算でも、これまでのところ大手金融機関を中心に良好なものが多いことが株価の先高観につながっていることが背景にあります。
そのため、これまでのレポートなどでも指摘したように、米国の景況感が後退しない限り、この株高の流れが続きそうというのがメインシナリオであることに変わりはありません。
とはいえ、いくら米国株市場のムードが良好だとしも、「どこまで上昇できるか?」にという点については、今週火曜日のレポートおよび先週金曜日のレポートでも指摘した通り、米国株がすでにPER(株価収益率)や益回りの面でかなり割高な状況でもあるため、しばらくは、企業決算の稼ぐチカラを確認しながら上値を追っていくことになりそうです(もちろんネガティブサプライズには注意が必要です)。
従って、今後も米国株が上昇していけるかは、「景況感の変化」と、「強気ムードや割高感」の動向次第になります。