米大統領選挙と金融市場

 米大統領選挙は民主党と共和党のどちらが勝つか分からない混沌(こんとん)とした状況となっている。一時はやったトランプトレードもハリストレードも消滅してしまった。

 ジム・クインはどちらが勝っても最終的な結末は同じだと述べている。「危機、大惨事、崩壊へのカウントダウンが始まっている」というのだ。彼のブログから、その要点を以下に紹介したい。

 トランプを選ぶことで、米国は破局的な崩壊を一時的に止めることはできるかもしれないが、何十年にもわたる誤った決断や、世界が米ドルへの信頼を失い、今にも崩れ落ちそうな負債の塔を覆すために、彼ができる実質的なことは何もない。

 何十年も前にルートヴィヒ・フォン・ミーゼスが述べたように、本当に逃げ場はない。 35兆ドルの負債があり、数カ月ごとに1兆ドルずつ増えている現状では、信用拡大は限界に達している。 崩壊は避けられない。

 今後数カ月の間に何が起こるかはわからないが、何事もなく終わることはないだろう。4thターニング(80年サイクル)は常に、暴力的な動乱、死、破壊、そして明確な勝者と敗者に向かって激化する。

レイ・ダリオ作成のビッグサイクル

出所:リンクトイン、レイ・ダリオ

 選挙結果がどうであれ、負けた側が敗北を認めないため暴力が続くだろう。この危機が2008年にFRBとウォール街のオーナーたちによって引き起こされてから24年後の2032年までに、ある種のクライマックスと解決に向けて旅するように、内戦が世界的な紛争と結びつくと私は予想している。

出所:ゼロヘッジ「Countdown To Crisis, Catastrophe, & Collapse」(ジム・クイン)

「信用膨張によってもたらされた好況の最終的な崩壊を避ける手段はない。 問題は、さらなる信用膨張を自主的に断念した結果、危機が早く訪れるか、それとも通貨システムの最終的かつ完全な破局として、危機が遅く訪れるかだけである」

(ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス)

 相場の未来など神様でもない限り誰も正確に予測することは不可能だが、われわれは今、大きな歴史の転換点の渦中にいるのではないか? 時代の変化は後で振り返ってみると分かるが、渦中にいる時は気づかないものである。