原油下落・インフレ低下によって米景気は持ち直し

 2022年後半から2023年にかけて、なぜ米景気は持ち直していったのでしょうか? さまざまな要因が絡まっていますが、中でも大きいのは、原油価格およびインフレの動向です。ロシアによるウクライナ侵攻があった2022年2月、原油価格が急騰してインフレがさらに深刻になる不安が高まりました。

 ところが、2022年の後半から2023年にかけて、原油価格は反落し、それにつれて、米インフレも沈静化に向かいました。

 利上げによって、金利はどんどん高くなっていきましたが、インフレが鎮静化していったことで、米消費は持ち直したと考えられます。

WTI原油先物(期近):2022年1月3日~2024年7月8日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

米インフレ率(CPI総合指数・コア指数の前年同月比上昇率)推移:2020年1月~2024年5月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

 もちろん、インフレ率低下だけで米景気が持ち直したというわけではありません。生成AI(人工知能)ブームが広がり、米エヌビディアを筆頭に、半導体ブームが復活したことも、米景気に追い風となっています。