米景気は強さの中に少し弱さも混じる

 米労働省が7日発表した5月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比で27万2,000人増加しました。事前の市場予想を上回るポジティブ・サプライズで、米景気好調と判断される20万人を上回る増加でした。この状況では、6月11~12日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)では、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長から早期利下げを示唆する発言は出にくいと考えられます。

 ただし、完全失業率は前月比0.1ポイント上昇の4.0%と、2022年1月以来、2年4カ月ぶりに4%に乗せました。

米雇用統計、非農業部門の雇用者増加数(前月比):2021年1月~2024年5月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

米雇用統計、完全失業率:2021年1月~2024年5月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

 5月の米ISM(米サプライマネジメント協会)景況指数は、製造業の景況悪化が続いている一方、非製造業は持ち直しました。

米ISM製造業・非製造業景況指数:2020年1月~2024年5月

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 一番注目の米インフレ率(CPI(消費者物価指数)総合・コア指数の前年比上昇率)ですが、以下の通り、ピークアウトして下がってきたものの、3%台で下げ止まっているように見えます。2%までの低下はまだ見通せない状況です。2%までの低下が見通せるようにならないと、FRB(米連邦準備制度理事会)は、利下げを開始しない可能性もあります。

米インフレ率(CPI総合・コア指数の前年比上昇率):2020年1月~2024年5月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

日本株の投資判断

 日本株は割安で、長期的には上値余地が大きいと考えていますが、目先、米国株が反落する時は、ショック安となるリスクもあり、注意が必要です。短期的には、警戒が怠れないと思います。

 時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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