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著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
米景気「ほど良い湯かげん」いつまで?どうなる日本株?

日経平均はやや膠着

 先週(営業日6月3~7日)の日経平均株価は、1週間で196円(0.5%)上がって3万8,683円となりました。強弱材料がきっこうして、日経平均に膠着(こうちゃく)色が出ています。

 米国株が強いことが、日経平均の下値を支えています。米金利が高止まりしていることから、ダウ工業株30種平均は上値が重くなってきていますが、ナスダック総合指数の最高値更新が続いています。

日経平均・ナスダック総合指数の週次推移比較:2021年末~2024年6月7日

出所:2021年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 ナスダックが強い理由として、2つあります。

【1】エヌビディア好業績で株価上昇

 生成AI関連の中核である米半導体大手エヌビディアが強いことを受け、生成AI関連中心にナスダック上昇が続いている。

エヌビディア株の週次推移:2022年末~2024年6月7日

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

【2】米景気は強過ぎず、弱過ぎず、程よい景況ととらえられている

 米景気が堅調で、9月利下げが実現しない可能性があることに不安があります。ただし、米景気にやや減速の兆しもあり、これ以上の利上げはなく、いずれ利下げが見込まれると考えられています。この状態が、米国株にとって居心地の良い景況となっています。

米景気は強さの中に少し弱さも混じる

 米労働省が7日発表した5月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比で27万2,000人増加しました。事前の市場予想を上回るポジティブ・サプライズで、米景気好調と判断される20万人を上回る増加でした。この状況では、6月11~12日に開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)では、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長から早期利下げを示唆する発言は出にくいと考えられます。

 ただし、完全失業率は前月比0.1ポイント上昇の4.0%と、2022年1月以来、2年4カ月ぶりに4%に乗せました。

米雇用統計、非農業部門の雇用者増加数(前月比):2021年1月~2024年5月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

米雇用統計、完全失業率:2021年1月~2024年5月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

 5月の米ISM(米サプライマネジメント協会)景況指数は、製造業の景況悪化が続いている一方、非製造業は持ち直しました。

米ISM製造業・非製造業景況指数:2020年1月~2024年5月

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 一番注目の米インフレ率(CPI(消費者物価指数)総合・コア指数の前年比上昇率)ですが、以下の通り、ピークアウトして下がってきたものの、3%台で下げ止まっているように見えます。2%までの低下はまだ見通せない状況です。2%までの低下が見通せるようにならないと、FRB(米連邦準備制度理事会)は、利下げを開始しない可能性もあります。

米インフレ率(CPI総合・コア指数の前年比上昇率):2020年1月~2024年5月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

日本株の投資判断

 日本株は割安で、長期的には上値余地が大きいと考えていますが、目先、米国株が反落する時は、ショック安となるリスクもあり、注意が必要です。短期的には、警戒が怠れないと思います。

 時間分散しながら、割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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