今後も注目される主要半導体関連10銘柄
半導体関連銘柄の株価の動きは、米SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)に連動する形で、おおむね同一方向に傾きやすくなっています。2023年以降の株価パフォーマンスも総じて好調な推移といえるでしょう。
中でも、生成AI関連としての位置付けが高いディスコ(6146)、TOWA(6315)やTSMC向けのウエートが高いとされるSCREEN(7735)などの上昇率が高い状況です。ローム(6963)に関しては、東芝への出資などに伴う財務リスクが株価の抑制要因にもなりました。
今後も生成AIの市場拡大が続けば、ディスコ、TOWA、アドバンテスト(6857)など、後工程メーカーの株価パフォーマンスが高まりやすくなるでしょう。
以下に挙げた半導体製造装置メーカーは特定機種で高いシェアを占めているため、製造装置市場の拡大でストレートにメリットを受けやすいですが、長期的に見れば、技術革新などによって一部の工程が不要となる状況も考えられ、そこはリスク要因となり得ます。
半導体材料メーカーは中小型株も多く、今後も再編の動きなどが株価材料となってきそうです。半導体メーカーでは、将来的にラピダスの上場が注目材料とされるほか、パワー半導体の市場拡大期待も高まっていくとみられます。
(表)主要な半導体関連銘柄
コード | 銘柄 | 株価 | 時価総額 | PER | 上昇率 |
---|---|---|---|---|---|
8035 | 東京エレクトロン | 37,660 | 177,616 | 51.27 | 190.59 |
4063 | 信越化学工業 | 6,192 | 123,944 | 22.46 | 90.82 |
6146 | ディスコ | 56,060 | 60,749 | 81.75 | 345.51 |
6857 | アドバンテスト | 5,968 | 45,723 | 68.28 | 181.51 |
6920 | レーザーテック | 40,200 | 37,903 | 65.92 | 84.87 |
7735 | SCREEN | 18,295 | 18,585 | 27.11 | 332.51 |
6963 | ローム | 2,431.5 | 10,017 | 19.54 | 2.06 |
4186 | 東京応化工業 | 4,282 | 5,472 | 27.29 | 114.46 |
3132 | マクニカHD | 7,021 | 4,272 | 9.98 | 123.24 |
6315 | TOWA | 9,710 | 2,431 | 42.51 | 474.56 |
(注)上昇率は2022年末比 (注)時価総額、PER(株価収益率)は楽天証券MARKETSPEEDより |
東京エレクトロン(8035・東証プライム)
半導体製造装置の国内最大手企業。日経半導体株指数でも最大の構成比を占めています。フォトレジスト(感光剤)の塗布や現像を行うコータ・デベロッパでは世界トップ級で90%程度のシェアと推定されています。そのため、利益率も高いもようです。加えて、熱処理装置やエッチング装置などでも世界で高シェアを誇っています。
2024年3月期経常利益の市場コンセンサスは4,583億円で前期比26.7%減の予想、会社予想は4,500億円です。2025年3月期のコンセンサスは5,967億円で同30.2%増となっています。
信越化学工業(4063・東証プライム)
塩化ビニール樹脂で世界トップの化学メーカーですが、半導体シリコンウエハーでも世界トップシェアを誇っています。半導体分野では、フォトマスクブランクス、フォトレジストなどの半導体材料でも世界第2位の位置付けとなっています。新たにこうした半導体材料の新工場建設も計画しているようです。高シェア製品多く利益率が高いことも特徴です。
2024年3月期経常利益の市場コンセンサスは7,962億円で前期比22.0%減の予想、会社予想は7,600億円です。2025年3月期のコンセンサスは9,009億円で同13.2%増となっています。
ディスコ(6146・東証プライム)
半導体チップをシリコンウエハー上から切り出すダイシング装置、シリコンウエハーなどを研削・研磨加工するグラインディング装置で世界トップの企業です。HBM向け装置ではシェア100%とみられ、生成AI市場拡大でメリットが極めて大きい銘柄です。会社側は生成AI関連の売上高は「3ケタ億円台半ば」とのガイダンスを示しているようです。
2024年3月期経常利益の市場コンセンサスは1,156億円で前期比2.9%増の予想、会社予想は1,091億円です。2025年3月期のコンセンサスは1,639億円で同41.8%増となっています。
アドバンテスト(6857・東証プライム)
半導体テスタ(試験装置)の最大手企業です。メモリテスタ、SoC(システム・オン・チップ)テスタともに世界で過半のシェアを握っているとみられています。AMD、中国企業向けのほか、エヌビディア向けなども相対的に強いとされているほか、HBM検査でもメモリテスタが使用されるため、生成AI市場の拡大メリットは大きいといえます。
2024年3月期経常利益の市場コンセンサスは854億円で前期比50.1%減の予想、会社予想は825億円です。2025年3月期のコンセンサスは1,376億円で同61.0%増となっています。