子供を私立に通わせるにはいくら必要?

 現在の家計状況について説明したあと、青山さんから「何かご質問があれば」という言葉がありました。そこで、ジュンコさんは、この面談で最も聞きたかった、長女、カホちゃんの教育費について質問しました。

「チャットでお伝えしたように、小学校から私立に通わせたいと考えています。そこで、どれくらい学費がかかるか、ネットなどで調べてみたら、年間100万円は見たほうがいいとわかりました。先ほどお話ししたように、今でも2人合わせると年間350万円ほど残しているので、十分、払える額だと思っていますが、何か留意すべき点はありますでしょうか」

「小学校だけでなく、もっと先のことまで考えておくべきでしょう。というのも同じ私立小学校でも、中学、高校と付属校があるところもあれば、○○学園や××小学校のように小学校しかないところもあります。前者だとよほどのことがない限り、内部進学できますが、後者だと中学受験、高校受験に臨むことになります。ですので、学校の学費とはべつに塾費用が必要なんです」

「自宅から通える私立小学校を調べてみたのですが、残念ながら一貫校はありませんでした。ですから、小学校しかない学校になると思います」

 

「だとすると、中学受験、高校受験のための費用を考えておく必要があります。一般的には小学3、4年生から塾に通いますが、その費用は3年間で200万円から300万円に及びます。また、中学入学後は、高校受験のための進学塾、高校に入った後は大学進学のための予備校などに通うことになります。それを全て頭に入れておくべきでしょう」

 ここでジュンコさんは、まだ青山さんに伝えていないことを話しました。2年後をめどに2人目の子供をつくろうと考えていることです。

「それはいいですね。カホちゃんも喜ぶでしょう。実をいうと私も年の近い子供がいるのですが、いずれ2人目がほしいと思っています」

 

「ただし、授業料と塾の費用で年200万円かかるとなると、2人私立に通わせるのはちょっときついかという思いもあります。その点は、どう思われますか」


 

「お2人の年収を考えれば、無理ではないと思います。おそらく家計を見直せば、もう少し余裕が生まれるでしょうし。ただし、一つ、大きな問題があります。ご主人の定年が10年後に迫っていることです。先ほどのお話によると、定年延長制度を利用して、65歳くらいまでは働きたいとのことですが、給与は減額されるのでは?」

「そうですね、たぶん5割か6割になるでしょう」


 

「退職金もあまり期待できない?」


 

「私は中途入社なので、おそらく数百万円程度かなと思います」


 

「となると、やはり不安が残ります。2年後に2人目をご出産されると、10年後カホちゃんは中学生、下のお子さんはまだ小学生ですから、まだまだ教育費がかさみます。むしろ、そのあたりから大学受験にかけて、さらに膨らんでいくでしょう」

「たしかに2年後に産むとすると、その子が大学を卒業するのは今から24年後ですもんね。私が64歳で、夫は74歳。私は頑張ればまだ働けるかもしれませんが、その収入と年金だけで学費を賄うのは厳しいかもしれません」
 

「おっしゃる通りです」


 

 では、どうすべきか。青山さんは取るべき手段は一つしかないと提言します。