米国株への長期積立投資で時価資産は1億5,000万円に迫る

 米国株式を含めた外国株式に投資を続ける過程においてリスク(リターンのブレ)に直面する事態は避けて通れません。株価が反落や調整モード入りする場面では慌てずに「買い増し」を続けていくことが大切だと思います。

 新NISAの「つみたて投資枠」は、年額120万円と、旧NISAから3倍に拡大されました。月額にすると10万円までの定時定額投資が可能となったということです。そこで、家計の貯蓄や余裕資金から「毎月5万円ずつの積立投資」を実施した場合の長期市場実績を以下で検証します。

 図表3は、約30年前の1994年1月に5万円をS&P500総収益指数(円)に投資し、その後も毎月末に5万円ずつ継続的に投資してきたケースを検証したものです。合計で362回の定時定額投資を実践すると、累計投資額は簿価ベースで1,810万円(=5万円×362回)でした。

 この間のドルコスト平均法と複利運用(雪だるま)効果で、投資元本の時価評価額は「約1億4,953万円」に膨らんできました(2月末時点)。資産の時価評価額が累計投資額(投資元本)の8.26倍に成長してきた投資成果を示し、「億り人」を超えてきたということです。

「積み立て投資」は、資産形成に向き合う時間軸の長さを武器にしたリターンの追及が本質です。図表3は、幾度もの株価下落を乗り越えてきた米国株式の長期リターンがもたらした資産形成効果を示しています。

 筆者の2024年末までを見据えたS&P500の目標値(メインシナリオ)は5,300ポイントで変わりません。テクニカル要因、債券金利変動、商業用不動産の軟調、トランプ・リスクを巡る不確実性が顕在化して持ち高調整に直面すると、株式相場が高値圏から調整モード入りする可能性も否定できません。

 株価が下落する場面では、長期的な視野に立った「積み増し買い」を淡々と続けることが資産形成に寄与すると考えています。

<図表3>米国株式に5万ずつ30年積立投資したら約1.5億円に

*上記は市場実績に基づくシミュレーションであり、将来の投資成果を保証するものではありません。
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2024年2月末現在)

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