高値更新に迫る日経平均に高値波乱の可能性も

 前週は、日経平均株価(225種)が史上最高値(3万8,915円)に迫る上昇を見せました。東京証券取引所が16日に発表した2月第1週の投資部門別売買動向によると、海外投資家が現物株を6週連続で買い越し、「逆張り志向が強い」とされてきた個人投資家も3週連続で買い越しに動いた「総強気」が確認されました。

 日本株堅調の背景としては、(1)「デフレからの脱却」期待、(2)東証の「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ解消要請」を受けた企業の資本効率改善期待、(3)日本銀行による金融緩和の長期化期待、(4)為替の円安・ドル高による増益継続期待、(5)中国株の弱気相場入りに伴う海外投資家による「日本株シフト」などが挙げられます。ただ、実際のところは「米国株高」と「為替の円安」による影響が大きいと考えられます。

 図表1は、「円建てS&P500種指数」と日経平均の推移を示したものです。過去10年における両指数の相関係数は「0.81」と高位です。米国株が上昇し為替がドル高・円安となると日経平均は上昇しやすく、(逆に)米国株が下落し為替がドル安・円高になると日経平均は下落しやすくなります。

 最近は米国株が上昇して海外投資家のリスク許容度が改善。日経平均の寄与度が高いファーストリテイリング、半導体関連株、ソフトバンクグループ(SBG)などが買われました。ただ、日経平均のRSI(相対力指数)は「買われ過ぎ」を示す70%を超え76.7%に上昇(16日)し過熱感も拭えない状況となっています。

 米国株が調整モード入りし、為替が円高に転じると、日経平均が「高値波乱」に陥る可能性も否定できません。日経平均が一本調子に上昇せず、利益確定売りを消化してあらためて高値を目指す方が健全な相場といえるでしょう。

<図表1>「円建て米国株式」と日経平均の連動性は約80%と高い

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成