2月のビットコインイベント

NEW! 2月15日 円建てで史上最高値更新
NEW! 2月19日 週次の暗号資産ファンドへの流入が過去最高の24.5億ドルに
NEW! 2月29日 ブラックロックのIBITが史上最速7週間で100億ドルファンドに

*2024年1月以降の主なビットコインイベントは記事最終ページにまとめています。
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材料面から見た3月見通し

2月の振り返り

2月のビットコイン価格(円)とイベント

出典:Trading Viewより楽天ウォレット作成

 2月のBTC(ビットコイン)は大きく上昇。ETF(上場投資信託)ローンチ後の半値戻し、4万2,000ドルを上抜けると、全値戻しとなる4万9,000ドルもあっさりクリア。

 いったん2021年12月の戻り高値5万3,000ドル近辺で上げ渋ったが、史上最高値6万9,000ドル手前の最後のレジスタンスを抜けると6万4,000ドル台まで急伸。円建てでの史上最高値785万円もあっさりクリアし、3月に入ると、ドル建て史上最高値も更新した。

BTC現物ETF10銘柄への資金フローとBTC価格

Farside Investors・Bloombergから楽天ウォレット作成

 この2月の上昇はほぼETFからの資金流入で説明できる。1月11日のローンチ直後に4万9,000ドルでピークを付けるとSell the Fact(うわさで買って事実で売れ)気味に失速。GBTC(ビットコインの価格と連動した投資信託)の売り圧力からETFフローがマイナスとなる中、3万9,000ドル割れまで値を下げた。

 その後、ETFフローがプラスに転じたこともあり、BTCはじりじりと値を戻したが、1月の下落の半値戻しとなる4万4,000ドル手前で上値を押さえられた。

 しかし2月7日にアーク・インベストメント社(米国のイノベーション投資に特化した運用会社)がETH(イーサリアム)ETFの申請修正、BTC ETF承認と同じ道筋をたどっていると好感され、この4万4,000ドルを上抜けると、全値戻しの4万9,000ドルをあっさりクリアし、5万3,000ドルまで急伸した。

BTC現物ETFへの資金フローがBTCの供給(900BTC)の何倍に相当するか?

Farside Investors・Bloombergから楽天ウォレット作成

 この上昇を後押ししたのがETFのフローだ。2月8日から16日にかけて1日5億ドル前後の資金流入が続いた。このインパクトはBTC価格で見ると分かりやすい。BTC価格を5万ドルとすると5億ドルは1万BTCに相当する。

 BTCの発行量1日900BTCに対し10倍以上の買いが入る計算で、売り玉が不足するので残り約9,000BTCは価格を引き上げて既存の保有者から買い取っている構図だ。要は何らかの材料で市場心理が揺れ動いたというよりも、実弾で需給バランスが崩れ急騰した形だ。

 この上昇はちょうどBTCが上昇しやすい春節の連休(2月9~17日)とも重なり、また米3連休中(2月17~19日)はETFが休場で、週明けのフローも低調となったことでBTCはしばらくもみ合った。しかし、翌週の26日からはETFフローが復活、6万4,000ドル台まで値を伸ばしている。

ETFフローはなぜ増えた

 このように、ETFフローの急増がBTC市場を押し上げたのだが、なぜ2月8日あたりから増えたのだろうか?

 まずSell the Factが一巡、押し目を待ちで様子見していた買いが殺到したことが挙げられる。現物ETFといった大きな好材料の前に期待先行で上昇、ローンチ後に失速するのは、先物ETFやCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)先物開始時にも見られたいわばBTC市場のクセで、半値戻しをクリアし底打ちを確認し買いが出動した格好だ。

 次に、機関投資家の参入だ。伝統的な機関投資家にとって、その市場が十分な流動性を持っていて、ポジションをスムーズに閉じられるかが、相場に入るタイミングと同じくらい重要だ。要は入るタイミングは自分でコントロールできるが、出るタイミングはお客や相場次第という部分がある。そのため新規の市場に飛びついたりすることはあまりない。

 そうした彼らがBTC現物ETF市場のローンチ後1カ月間の実績を吟味して、及第点を与えた可能性がある。

 ローンチ後1カ月のETFの運用総額でブラックロックのIBIT(iShares Bitcoin Trust:ビットコイン現物ETFの一つ)とフィデリティのFBTC(Fidelity Wise Origin Bitcoin Trust:ビットコイン現物ETFの一つ)が歴代1位と2位を占め、IBITが記録した7週間でAUM(運用資産残高)100億ドル到達も過去最速だった。

 また金ETFからのシフトも指摘される。年初から3月1日までBTC ETFに73億ドルの資金が流入したのに対し、金ETF大手2銘柄からは42億ドルの資金が流出している。法定通貨へのヘッジ資産として金ETFを保有していた投資家が、BTC ETFローンチを機に値動きの遅いゴールドに見切りをつけている可能性がある。

BTC現物ETF・金ETF大手2銘柄の年初来フロー

Bloombergから楽天ウォレット作成

 もう一つ、一部のアナリストから指摘されているのがベビーブーマー世代(米国の場合1964年以前生まれを指す)の参入だ。派手さはないがブラックロックの運用責任者が淡々とBTCのメリットを説明するコマーシャルが、そうした世代を動かしたのではと言われている。

 それまで暗号資産やその業界を何となくうさんくさいと敬遠していたこうした世代が、ブラックロックやフィデリティが言うならば…と参入を始めているというわけだ。