「最高値、何がすごい?」世代で異なる日経平均の捉え方

 2月22日の猫の日、日経平均株価がついに1989年12月29日につけた終値ベースの史上最高値3万8,915円87銭を更新しました。年配の証券関係者の多くが祝杯を挙げ、「もはやバブル後ではない」「失われた30年を取り戻す」「平成の呪縛をついに払拭(ふっしょく)」などと浮かれたワードを交わしたことでしょう。

 一方、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)にて、最近、日本株式市場に参加した方々向けにセミナーをやっていますと、「バブル…、はぁ、生まれていませんので分かりません」「日経平均の史上最高値はいいお話ですが、34年前の水準で保有している人はいないですよね? そんなに重要な節目なんですか?」というクレバーな質問が飛んできて、結構面を食らいます。

 私は、ソニーショック(2003年4月、決算発表後に2日連続でストップ安)やりそな銀行の実質国有化(2003年5月、2兆円近い公的資金注入)など、陰の極とも言えるムード漂う2003年、国内証券会社で社会人人生をスタートさせました。ちょうど、日経平均が当時のバブル崩壊後の安値7,603円をつけた頃です。

 その後、さまざまな事象を経験しました。2004年から2006年はIPO(新規公開株)バブルで今の倍近い年間180社ほどが新規上場し、上場した企業の株価が軒並み高騰。

 直後の2006年には、ライブドアショック(1月16日、新興市場の中心的な銘柄だったライブドアに東京地検の捜査が入り、翌日から新興市場が急落したショック)、2007~2009年のサブプライムショック(米不動産バブルが弾けて不動産関連の金融商品が大暴落し、米投資会社リーマン・ブラザーズ破綻など金融市場が大混乱に陥った)、そして、2012年のアベノミクス相場スタート(2012年から13年にかけて、安倍晋三前首相の成長戦略などの政策と黒田東彦前日本銀行総裁が打ち出した大規模金融緩和に伴う大相場)、2020年のコロナショック(全世界で新型コロナウイルスが流行したことで工場が停止、供給不安が一気に噴き出し世界の株が急落)。

 ここまでの私の社会人人生を振り返ると、日経平均は軽く5倍ほど上昇しました。ですから、私は「株はじっくり保有すれば上がるもの」という認識を持っています。

 今回の「日経平均の史上最高値更新」の捉え方というのは、いつから株式投資を始めたか(もしくは関心を持ったか)で大きく異なるでしょう。バブルを経験した投資家からすると「株は下がるもの」という認識が強かったかもしれません。逆に、2020年以降、NISAを通して株式投資の世界に飛び込んだ方からすると、私に近い認識かもしれないですね。

 そして、最近投資を始めた方は、年配の投資家や多くの証券関係者が、「日経平均の史上最高値更新」を感慨深げにノスタルジックなムードに浸っていた心境は分からないでしょう。

 私は子どもの時から日経平均を見ていたので、「日経平均の史上最高値更新」は感慨深いものがありました。この辺は少し違うかもしれません。

高値つかみや暴落が心配なら、「積立投資」が選択肢

 NISAを通して日本株を見ている方は、日経平均に連動した成績を目指す投資信託「インデックスファンド」やETF(上場投資信託)に投資をしていない限り、日経平均より自分が投資している銘柄の動向が気になるでしょう。

 また、日経平均が高値を更新していることから「今投資したら、高値つかみになってしまう?」「日経平均は急ピッチで上がりすぎって言われているから、日本株って暴落するのかな?」などと疑心暗鬼に陥り投資をためらう方もいることでしょう。

 もちろん相場の先行きは誰にも分からないので、何か予期せぬネガティブな材料が出て日本株が急落する可能性はあります。しかしながら、今の日本株の上昇は、好調な企業業績に基づいた上昇ですので決してバブルではありません。日経平均が「バブル後の呪縛」を払拭したことで、日本株は「次のステージ」にようやく立ったと考えていいと思います。

 それでも心配だ、という方はいらっしゃるでしょうから、そうした方こそ、NISAで積立投資を行うべきだと考えます。長期的な視点に立って毎月定期的に買うことで「ドルコスト平均法」が実践できます。

 ドルコスト平均法とは、価格が変動する金融商品を常に一定の金額で、かつ時間を分散して定期的に買い続ける手法です。この手法を用いて金融商品を購入し続けた場合、価格が低いときの購入量は多くなり、価格が高いときの購入量は少なくなります。

 ドルコスト平均法を利用した積立投資の特徴には、価格が上下に動く金融商品に投資をする際、投資のタイミングや投資期間といった「時間」を分散することによって、リスクとリターンを平準化できる点があります。

 定期的かつ機械的に買いを入れることで、「今は高値かな?」とか「もう少し待ったら安くなるかも?」といった考え(ノイズ)を排除することが可能となります。こうしたノイズをシャットアウトするためにも、NISAで積立投資を行う選択はアリだと思います。

田代くんの気になる5銘柄はコレ!:高配当、好業績、隠れ銘柄

 積立投資を実施する際の銘柄選定の条件は、やはり高配当、好業績がポイントになるでしょう。

 2月15日公開の「日経平均、最高値でも浮かれない!企業の株主還元に注目、連続増配株5選」で紹介した銘柄も候補に入りますが、今回は、銘柄選定の幅を広げるためにNISA特集で名前がよく出てくる銘柄ではなく、より配当利回りが高く、好業績が続いている5銘柄をピックアップしました。

 なお、NISAで名前が出てくる銘柄以外をスクリーニングするために時価総額が小さめの銘柄を選びましたが、時価総額が小さすぎるとさまざまな投資家の関心が高まりにくいことから500億円以上で区切っています。

NISAで株の積み立て!隠れた高配当銘柄【選定条件】
・3期以上連続増収増益(売上高、経常利益、営業利益、純利益全て)
・配当利回り3.5%以上
・時価総額500億円以上3,000億円以下

銘柄名 証券コード 株価
(円)
(2月29日終値)
予想配当
利回り
(2月29日終値)
ポイント
SECカーボン 5304 2,752 3.63% 想定為替1ドル140円のため再上方修正の可能性アリ
日本特殊陶業 5334 4,541 3.52% 自動車関連事業好調で業績上振れ余地アリ
FPG 7148 1,907 4.06% 保守的な業績見通しは上振れ余地アリ
オカムラ 7994 2,189 3.92% 価格転嫁進め、物流システム事業の収益が大幅に改善
トーセイ 8923 2,043 3.57% 中期経営計画では2026年11月期までに配当性向を35%まで引き上げ

SECカーボン(5304)

 大手炭素製品メーカーでスタンダード市場に上場しています。アルミニウム製錬工場の電解炉において欠かすことができないアルミニウム製錬用カソードブロックが主力製品です。同じく主力製品である黒鉛電極に関しては、同業の日本カーボン(5302)と2022年に資本・業務提携を締結し、製造技術の相互供与などを行うこととしています。

 2月13日に、アルミニウム製錬用カソードブロックの販売堅調や為替の円安推移を受けて、2024年3月期通期見通しを上方修正しました。ただ、2023年4-12月期時点の経常利益と親会社株主に帰属する四半期純利益のそれぞれの進捗(しんちょく)率は、上方修正した数値で見ても8割超に達しています。

 業績の為替想定レートを1ドル=140円で見ていることも考慮すると、2024年3月期通期見通しを再び上方修正する可能性もあります。

日本特殊陶業(5334)

 自動車エンジンの点火ブラグ(スパークプラグ)では国内トップシェアを誇っています。世界最大のセラミックス企業グループである森村グループ(旧森村財閥)に所属しており、同グループには、陶器で有名なノリタケカンパニーリミテド(5331)、ガイシで世界No.1の日本ガイシ(5333)、トイレなど衛生陶器で有名なTOTO(5332)がいます。

 セラミック事業は厳しい状況ですが、自動車用プラグの販売が堅調に推移しており自動車関連事業が業績のけん引役となっています。

 2024年3月期通期見通しに対する2023年4-12月期税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益の進捗率はいずれも85%ほどに達していることから、2024年3月期通期見通しは上振れの可能性があります。

FPG(7148)

 航空機や船舶、コンテナのリースファンド組成、不動産ファンドや保険など金融サービスを展開しており、卓球の張本智和・美和選手を応援しています。

 リースファンド事業の好調が継続しており、2023年10-12月期では、四半期連結会計期間としては過去最高の出資金販売額となったほか、国内不動産ファンド事業も不動産小口化商品販売額が同期間で過去最高額を更新しました。

 2024年9月期業績見通しは小幅な増収増益にとどまっていますが、前期は抑えめな業績見通しを発表した結果、大幅な上振れでの着地となりました。金融という政策や環境などに左右されがちな事業のため保守的な業績見通しと捉えておいた方がいいでしょう。

オカムラ(7994)

 オフィス家具では国内トップシェアを誇っているほか、オフィス空間レイアウトの提案、小売店舗用什器や冷凍・冷蔵ショーケースなども手掛けています。旧商号は岡村製作所です。

 新しい働き方に伴うオフィスリニューアルの需要が引き続き増加しており、主力のオフィス環境事業が業績のけん引役となっています。また、物流システム事業は、複数の大型物件の売上を計上したことや価格転嫁などを進めた結果、2023年4-12月期のセグメント損益は9.2億円の利益計上と、前年同期(11.9億円の損失)から大幅に改善しました。

 2024年3月期通期見通しは、売上高こそ前期比4.9%増の小幅な増収ですが、各利益はいずれも前期比二桁の増益を見込んでいます。なお、通期見通しに対する2023年4-12月期時点の各利益の進捗率は6割ほどにとどまっていますが、同社は1-3月期に利益が計上される季節性があることから足元の進捗率は心配いらないと考えます。

トーセイ(8923)

 中古不動産の価値を高めて投資家などに販売する事業のほか、不動産開発・賃貸やファンド運営、ホテル経営も行っています。

 前期の2023年11月期業績は、主力の不動産再生事業が好調だったほか、不動産ファンド・コンサルティング事業の受託資産残高が大幅に増加したことなどから、前期比二桁の増収増益での着地となりました。

 今期の2024年11月期見通しも増収増益を見込んでいます。また、2026年11月期までの3年間の中期経営計画では、で段階的に35%まで配当性向を引き上げる予定としていますので、今後も増配が期待できます。