2024年は短期視点の反発を予想
2024年を展望する上で大きなヒントになるのが、2023年の終盤に起きた反発のきっかけとなった、FRBの利下げ観測です。利下げは以下のような経路でプラチナ相場に上昇圧力をかける可能性があります。
図:FRB利下げ実施時のプラチナ市場を取り巻く環境
米国で利下げが実施されれば、個人や企業が資金調達をしやすくなります。このことは景気回復期待を増幅し、株式市場に上昇圧力をかける要因になり得ます。産業用の需要が多いプラチナに対しては、価格(ドル建て)を上昇させる圧力になり得ます。
また、利下げは同時にドルを保有する妙味を低下させ、相対的に金(ゴールド)を保有する妙味を高める要因になり得ます。金(ゴールド)と同じ貴金属のグループに属するプラチナに対しては、価格(ドル建て)を上昇させる圧力になり得ます。このように利下げは、二つの文脈でプラチナ相場に上昇圧力をかける可能性があります。
先述のとおり、足元のプラチナ相場は長期視点の安値水準付近で推移しており、割安感が高まっていると考えられます。このため2024年は、長期視点の割安感がある中で、米国の金融政策の方向性によっては二つの文脈で上昇圧力がかかる可能性があります。
以上より、筆者はいまのところ、2024年のプラチナ相場は700ドル(長期視点の安値水準の下限付近)から1,200ドル(2021年春の高値)の間で推移すると考えています。
図:2024年のドル建てプラチナ価格見通し(筆者イメージ) 単位:ドル/トロイオンス
下値はFRBの利下げ実施(観測含む)起因の景気回復期待と長期視点の割安感によって支えられ、上値は中国の景気後退懸念とフォルクスワーゲン問題の呪縛(じゅばく)(詳細は後述)によって抑えられるイメージです。急落はないが急騰もない、これが2024年のイメージです。