ゆっくり少し増やす投資、ガツンと儲けを狙う投資

「そういうあなたのために『コア・サテライト戦略』についてお話ししましょう」
「さすが先生!そういうのがあるんだったら最初から言ってくださいよ」

「コア資産というのは、これから5〜10年、使わないお金を長期分散投資で運用し、じっくりと腰を据えて運用をする資産になります。サテライト資産というのは、ハイリスク・ハイリターン狙いの資産です。この2つのポケットを使い分ける戦略が、『コア・サテライト戦略』です」

「先生、その二つのポケットの大きさは違うんでしょうか?」
「いい質問です。コア資産は投資先を分散していますので、リスクを抑えやすく、一方のサテライトはハイリスクになるので、コア資産9割、サテライト資産1割ぐらいの大きさがいいと思います」

 隆一は、サテライト1割というのが納得いかないようで、もう少しサテライトを増やしても…?という顔ぶりである。

「もちろん人間ですから、投資で早く儲けたいという気持ちを全く否定するつもりはありません。例えばポータルサイトのヤフー株は1株200万円で上場したのが2年で300倍の6億円になりました」
「6億円ですか!伊勢丹で何でも値札を見ずに買えますね」

「ヤフーや急成長する産業や国に投資をすることで、分散投資をするよりはるかに高いリターンをあげるチャンスもあります。ただ一方、そうした銘柄を当てるというのは、砂金を探すようなもので、逆に倒産をしてゼロになることもあります。ネットバブルの時には、ほとんどの新興ネット企業がバブル崩壊とともに潰れていきました」
「だからサテライトのポケットは小さくしておいたほうがいいのか」

「その通りです。そしてコアの資産に関しては、「卵を1つのカゴに盛るな」という格言があるように、きちんと分散投資をしてください。分散投資の話はまた次回以降に詳しく話します」

さらに先生は続けた。
「バブルというのは人間の早く儲けたいという欲望の結果起こるものです。適正な株価というものは、たとえば会社の将来性やPERやPBRといった株価水準を測る指標を参考に出すことはできますが、あくまで参考に過ぎません。もうひとつ注意したいことがあります。『ケインズの美人投票』のように、自分以外の投資家がどのような株式に投資しようとするのか、を考えあまりにも高い株価がついているものには警戒することも、大切です。今なら、話題のAIやロボット関連の株が高値を付けるのも、魅力的な株主優待がある株式の株価が高くなりがちなのも、その人気ゆえです。今の株価は、どのような人気で形成されているのか、を考えた上で投資すれば、高値つかみを避けることができるかもしれません」