先週の国内株市場ですが、週末6月30日(金)の日経平均終値は20,033円で、前週末終値(6月23日の20,132円)からは99円ほど下落となりました。特に下げが目立ったのは30日(金)で、この日は「窓」を空けての前日比187円安を見せましたが、それまでは5日移動平均線水準を意識しながらのもみ合いが続いていました。

(図1)日経平均(日足)の動き(2017年7月3日9時半頃時点)

(出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成)

あらためて上の図1を見てみますと、日経平均のローソク足の並びは相変わらず陰線が多く、「最初は強いのだけれども、その後は続かない」展開が続いています。取引時間中に年初来高値水準まで上昇しても維持できず、ローソク足の一本一本からは上昇の勢いはあまり感じられません。

その一方で、チャート全体の形からは上昇基調はまだ崩れていません。何だかんだで25日移動平均線がサポートとして機能しています。ローソク足の陰線が目立つ中、25日移動平均線付近では陽線になっていることからも、サポートとして意識されていることが窺えます。

そのため、今週は、日経平均が再び25日移動平均線を上放れする上昇を見せて、直近高値を更新し、前回も紹介しました、「25日移動平均線から上放れて調整」というリズムを繰り返すことができるかがポイントになりそうです。

また、週末に投開票が行われた都議会選挙では、都民ファーストの会が躍進し、与党自民党が大幅に議席を減らす結果となりました。都議会選挙の結果がその後の国政選挙に影響を与えると言われていることもあり、週明け7月3日(月)の取引が自ずと注目されることになりましたが、日経平均は反発してのスタートとなりました。

都議会選挙の影響は今のところ限定的という印象ではありますが、選挙戦の最中から自民党の苦戦が判明していたことや、もともと先週は積極的に買い上がる動きが乏しかったこと、先週末(6月30日)の下落ですでに織り込むような動きになっていたことなどが推察されます。

日本株の継続的な上昇には外国人の買いが不可欠ですが、これまで日本株を買う理由のひとつに日本の安定した政権基盤があったため、少なくとも今回の都議会選挙の結果はネガティブな材料です。このまま国政にも影響を及ぼして、あらためて売りが出てくる可能性がある一方で、人気取りのための政策を打ち出すなど、「災い転じて福と成す」展開も残されているため、都議会選挙の結果を受けた株式市場の初期反応は、ひとまず様子見ぐらいのスタンスで臨んだ方が良いのかもしれません。

またもやレンジ相場の継続がメインシナリオになりますが、想定レンジの目安を下の図2で見て行きたいと思います。

(図2)日経平均(日足)のHLバンド(2017年6月30日取引終了時点)

(出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成)

上の図2は、日経平均と移動平均線(25日と75日)のチャートにHLバンドを重ねたものになります。HLバンドとは、一定の期間内の高値(H)と安値(L)を線でつないで描いたものです。

結論から言ってしまうと、25日移動平均線を中心にHLバンドの上限と下限の範囲内が想定レンジになります。足元では25日線がサポートとして機能していますので、25日移動平均線とHLバンドの上限の範囲がコアレンジです。反対に、相場が下振れてしまった場合にはHLバンドの下限が下値の目安になります。

ここでのポイントは、HLバンドと75日移動平均線の位置関係です。

図2を少し過去に遡ると、3月下旬から4月半ばの下落トレンドが窺えますが、この時は75日移動平均線がHLバンドの下限よりも上に位置していました。日経平均が75日移動平均線を下抜けてから下値を探る展開となり、次第にバンドの下限も切り下がっていきました。

ただし、足元では75日移動平均線がHLバンドの下限よりも下にあります。また、25日移動平均線との「デッドクロス」に至るまでにはまだ余裕がありそうなことを踏まえると、HLバンドの下限が下値メドと捉えても良さそうです。