12月2日(土)、都内某所に300人以上の投資家が集まった。

 午前中から15時半までは、グループに分かれての勉強会。おのおのが発掘した中小型銘柄を発表し、熱いディスカッションが繰り広げられた。認知度の高い大型ディフェンシブ株だけではなく、おのおのが「これ」と思った中小型銘柄を調べつくし、発表しあう場だ。銘柄がかぶることがとても少ないのが印象的だ。

各自が一つ銘柄を決め、その分析をプレゼンしあうグループディスカッション。

 16時ごろからは、ぐっと場の雰囲気はくだけ、懇親会となった。投資家ならではの、非常な難問も含む投資クイズ大会や、投資家同士の歓談の後、その年、株式投資での累積利益が1億円を超えた「億り人」の表彰式となった。

PERチャートから「これが何の銘柄か」を選ぶなど、投資家ならではの難問も続出。

「10年で100人の億り人を出す」。それが塾を主宰する塾長のDUKE。氏の目標だ。

 DUKE。氏とは、株価チャートの動きから銘柄の需給を読むテクニカル分析と、企業の業績やビジネスモデルなどを調査するファンダメンタルズ分析の両方を駆使する「テクノファンダメンタルズ派」の投資家である。

 大学卒業後、上場企業の財務・経理部門で会社員を務め、2003年に個人での投資を開始。新興市場で2,000万円以上利益を得た後、ライブドアショックやリーマンショックで全ての利益を失うというセオリー通りの「大負け」を繰り返した後、ウィリアム・J・オニール、ニコラス・ダーバスの投資手法に出会ったことがDUKE。氏の投資家人生を変えた。

 彼の手法は自身で名付けた「新高値ブレイク投資法」だ。

「新高値」とは株価が上昇し、過去1年の最高値を超えたときの価格を指す。DUKE。氏の投資法とは、だいたい過去1年の最高値を超えたときに買う、という手法だ。「株価が安いときに買い、高くなったら売る」という、通常の投資家が順守しがちなセオリーとは全く反しているが、この手法に変えたのち、わずか2年で株式投資の累計利益が1億円を突破。その翌年には2億円を超えた。

「私が株式投資で利益を出せるようになるまで、約10年かかりました。投資について議論できる仲間がいたらもっと早くにここに到達できたのでは、と思ったのが塾を作ろうと思った発端です」とDUKE。氏。「はたしてどれくらい人が集まるものか…。20人も集まれば上々か…」と思って塾生募集を開始したのですが、ふたを開けてみれば、その10倍以上の応募があり、驚きました」

 塾を開始してすでに5年目に突入。懇親会では1期生は赤、2期生は青など、入塾期ごとに色の違うシールを胸に貼っている。そのうち十数人は、金色のシールが光る。「億り人」の印だ。

「個人投資家が好む中小型株、特にグロース株にとって、2023年は投資環境があまり良くなかった。6月までに日経平均株価が急上昇した後は中小型株にとっては厳しい状況が続いた。「1~6月に得た利益をどれだけ守れるか」という不利な投資環境の中でも、見事に株式累積利益が1億円を突破したのが「chada(チャダ)さん」、「KI(ケーアイ)さん」の二人だ。

▼chadaさん
1期生。50代。2000年当初から株式投資をはじめる。IT企業に勤める兼業投資家。DUKE。さんの「1勝4敗でもしっかり儲ける」という衝撃的なタイトルの赤本(『1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術』)に出会い、感銘を受け入塾。
▼KIさん
2期生。50代、兼業投資家。医療法人を経営。2020年2月から株式投資を開始。いきなりコロナショックで資産を減らす。コロナショックを無傷でやり過ごした人を探し、新高値ブレイク投資塾に出会う。2020年4月に入塾。

 ラストのイベントとして行われた二人の表彰式。ちょっと緊張ぎみに壇上に上がった二人は、どんな思いでその景色を改めて見たことだろうか。一言を、と塾長に促され、二人は達成者の弁を述べた。

「今ここにいる仲間におめでとうと言いたい」とchadaさん。ここにいる、ということは、この厳しい投資環境を生き残ったという証。生き残ってさえいれば今日、明日来るかもしれないチャンスをつかむことができる、と冷静に語った後、「来年もぜひここで再会しましょう」と言い、chadaさんはにこりとほほ笑んだ。

「いつかここ(壇上)に上がる、と願っていた過去の自分にぜひ伝えておきたかったことがある」というのはKIさん。1億円を達成するためには、リスク管理を徹底して行うこと、他人と比較しないこと、淡々と自分の物差しを強くすることに専念すること、焦らず待ち続けること、大きな金額を動かしているときも、いつも通りの平常心を保てること。そう振り返った後、「自分の一番の強みであるワクワクしながら宝探しを楽しむことを継続し、塾生の皆さんと一緒に、行ったことのない遠くまで行きたい」と未来を語った。

 トウシル編集部は、表彰式が終わったばかりのお二人にお話を聞いた。

 一つは「今、ハッピーですか?」という愚問。二人はニコニコとうなずいた。

 そしてもう一つ、トウシル編集部は重ねて質問した。「それは、1億円を持っているからですか?」

 お二人は苦笑して、首を振る。

「お金で幸せにはなれません。だからこそ、私は、寄付や、投資を続けることで経済に参加するなど、得た利益を意味のある使い方をしています。その納得感があるからハッピーなのだと思います」とchadaさん。

「年齢を重ねるごとに、人は誰かのためにしか頑張れなくなると感じている。成功イコール社会を改善して世界をほんの少し良くすること、自分が生きたことで楽になった人が1人でも現れること。現在のモチベーションは、家族と共に成長し、仕事でも投資活動でも、社会貢献を続けること」とKIさん。

 お金の心配がないということ、マイルストーンの一つである1億円という光景を見られたこと、お二人がハッピーな理由はさまざまな複合的な要因が詰まっている。が、お二人とじかに話してみて、その資金的、精神的な余裕は、正当な「投資」という戦い方で得たという自己肯定感が、支えているように思えた。

 DUKE。氏が、投資で独り勝ちを決めて高みの見物をするのではなく、後続を育成するための塾を作った理由の一つに、「仲間がいたらもっと早く億り人になれたかもしれない」という理由がある。塾生たちが持っている最大の武器は「仲間」だ。仲間から得られるものは「情報」と「モチベーション」と、自分の行動を見返す「冷静さ」ではないか、とこのパーティーに参加し、約50人以上の投資家と会話したトウシル編集部は考える。

「アウトプットするためにはその3倍のインプットが必要だ。機関投資家に負けないように塾のツールを駆使して武装し、また来年、成長した姿で必ずここで再会しよう」。締めのあいさつでDUKE。氏はそう言った。トウシルも心の底から同感だ。

 個人投資家やその予備軍の方々に、最適な情報を最短の時間で得るための情報提供を、トウシルは今後も続けていく。お金がないことで何かを諦めたり、自己肯定感が下がってしまう人が一人でも少なくなるよう、2024年から始まる新NISA (ニーサ:少額投資非課税制度)という主戦場で戦える武器を、ぜひトウシルからも受け取ってほしい。

DUKE。氏プロフィール

個人投資家、経営者。100名の億り人輩出を目指す「新高値ブレイク投資塾」を主宰。 米国公認会計士。 慶應義塾大学を卒業後、東証1部上場企業に入社。 管理会計、経営計画に長く携わり、経営陣への収益分析報告の責任者を務める。投資塾を始めたきっかけは、日本舞踊の師匠であった母の影響。葬儀には大勢の弟子が弔問に訪れたのを見て「人に何かを残すこと」に敬意を抱いたのがきっかけ。メルマガ一つから始まった塾は、今や「動画セミナー」、塾生が双方向でコミュニケーションが取れる塾生掲示板「塾生コミュニティ」、塾独自で開発した「新高値銘柄検索ツール」、塾生が作り上げたオニール流「レラティブストレングスツール」(全上場銘柄の値動きの強さをソートできるプログラム)など多数のコンテンツが充実している。

著書に『1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術』(通称:赤本)、『 忙しい人でも1日10分から始められる 3年で3人の「シン億り人」を誕生させたガチ投資術』(通称:青本)がある。

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トウシルがDUKE。氏にインタビューしたのは、まさに塾を立ち上げる直前の2019年2月のこと。その後まさかのコロナ禍に見舞われるがオンラインセミナーでの活動が活発化し、それぞれの塾生が立ち上げた分科会などで、塾はいっそう活気に満ちたという。現在は動画、メルマガ、独自で開発した銘柄チェックツールなど塾のコンテンツも充実し、さらなる億り人の誕生を応援している。