3 あおぞら銀行(8304・東証プライム)

 経営破綻して公的資金による救済を受けた日本債券信用銀行が前身です。中堅・中小企業との取引、不動産や事業再生案件といった専門性の高い融資を扱う「スペシャルティ・ファイナンス業務」が特徴です。コンパクトな規模で全国・海外において事業展開を行っています。

 インターネット銀行ではGMOと提携しています。配当は四半期ごとに実施しており、個人投資家の保有比率が高いことも特徴です。9月末の自己資本比率は9.63%となっています。

 2024年3月期上半期純利益は120億円で前年同期比21.7%減となっています。あおぞら型投資銀行ビジネスが好調に推移してビジネス利益は大幅増益となっていますが、与信関連費用の増加が重しとなりました。2024年3月期通期計画は240億円で前期比2.8倍の見通しです。

 前期に国債等債券損益で損失が発生しており、これが軽減することが大幅増益の要因となります。上半期で進捗(しんちょく)率は50%と順調に推移しています。年間配当計画は前期比横ばいの154円を計画しています。

 配当性向は50%としていますが、会社側では一時的に配当性向が高くなることも選択肢であるとしています。銀行セクターの中でも配当利回りの水準は高く、四半期配当を実施していることで、権利落ち分が分散されることから、権利落ちによる短期的な株価下落リスクが低いことも安心感につながります。

 目先は日銀の金融政策変更が他の銀行株と同様に期待材料となります。会社側では、円金利が全年限において0.1%上昇した場合の年間資金利益影響額は約24億円のプラスになると試算しているようです。 

4 日本たばこ産業(JT)(2914・東証プライム)

 たばこ事業が売上の9割超を占め、世界的にもトップ3に位置付けられています。現在の利益成長の柱は、2007年のギャラハー社買収をはじめ、相次ぎ大型買収を行って事業基盤を拡大させてきた海外事業となります。

 加熱式たばこ分野にも注力しています。たばこ以外では、医療用医薬品や加工食品事業なども手掛けています。2022年12月期には、調整後営業利益に占めるロシア市場の割合は約22%となっていました。

 2023年12月期第3四半期累計の為替一定ベースでの調整後営業利益は6,755億円で前年同期比5.9%増になっています。たばこや医薬事業が増収となっているほか、全ての事業が増益推移となっています。

 同ベースにおける調整後営業利益の2023年12月期通期計画は7,640億円で従来予想の7,300億円から上方修正しています。キャメルの伸長などによるグローバル・フラッグシップ・ブランドの好調、加熱式たばこの販売エリア拡大など、たばこの販売数量増加のほか、全事業が上振れとなるもようです。なお、年間配当金は前期比横ばいの188円を計画しています。

 会社側の株主還元方針として配当性向は75%を目安としており、利益の拡大は配当水準の引き上げにつながりやすくなっています。高温加熱型の加熱式たばこ「Ploom X」の海外展開本格化が今後の期待材料となります。

 2024年12月期には14カ国で販売を開始し、2024年末には28市場での販売開始を見込んでいます。紙巻きたばこと比較して利幅が大きく、2025年12月期にかけて利益拡大をけん引していくものと考えられます。

5 SANKYO(6417・東証プライム)

 パチンコ・パチスロ機の大手メーカーで、開発力の高さに定評があります。1980年に開発したパチンコ機「フィーバー」が大ヒットしました。パチンコ機では販売台数シェア第2位となっています。

 パチンコ機業界はヒット機種の有無によって業績変動リスクが大きくなりやすいことはリスク要因となります。一方、自己資本比率は約85%の水準で、無借金経営など財務体質は極めて良好です。

 2024年3月期上半期営業利益は455億円で前年同期比72.1%増となっています。パチンコ機は「フィーバー機動戦士ガンダムSEED」などを中心に販売台数が拡大、パチスロ機はタイトルの充実によってスマートパチスロの普及が進展し、売上は急拡大しました。

 2024年3月期通期では595億円、前期比1.7%増の見通しですが、上半期の高い進捗率や下期にも新タイトルの投入が予定されていることなどから、大幅な上振れが期待できるでしょう。年間配当金は前期150円の2倍の水準となる300円を計画しています。

 9月には配当方針の変更を発表しており、連結配当性向40%を目安とした業績連動型配当を行うとしています。これが前期比での大幅増配につながる形です。また、安定配当の要素も取り入れ、年間配当金の下限を100円に設定しています。

 加えて、11月には自己株式の取得実施も発表しました。発行済み株式数の18.56%に当たる1,000万株を取得上限としており、立会外取引で600万株を取得しています。良好な財務体質を背景に今後も機動的な自社株買いが実施されると見られ、1株当たりの価値向上につながっていきそうです。